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かいごさぶらい
かいごさぶらい
novelistID. 16488
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かいごさぶらい<上>続(3)

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「あいよーっ」これで私は敵では無くなったのだ。私が食事を終えても、母は依然としてお仕事に夢中。いや、佳境に入った感がする。こうなると、ティシュの箱が空になるまで止まらない。

「もう僕、ご馳走さん、したで~」

「ふ~ん」私は母の眼中にない。

「あーっ、お袋ちゃん、この歌な~、知ってるかー?」と、私は母の琴線に呼びかける。

「どんなんや~」私は、母の好きな童謡を、一節口ずさむ。

「しってるわいな!」母が振り向く。

「ほな、最初から唄お~か?」母と二人で、合唱する。母のお仕事の手が止まった。数曲、続けて合唱だ。

「はい、また後で唄お~な、さーご飯にしょう」

「ふふ~ん、うたえたー、わたしよ~しってるやろー」笑顔の母。

「ほんまや、よ~覚えてるな!」お箸を持たせると、歌の余韻にひたりながら、ニコニコしながら、母は食事をはじめた。






   「ヘルパーさんやっ!、にいちゃんきはったっー!」母の笑顔、その(5)

2005/6/17(金) 午後 1:08
某月某日 私が、母の介護で倒れず、元気でいられるのは、デイ施設の多くの方々に支えられているお陰である。この方たちのご協力や支えがなければ、私は間違いなく、病院行きである。今日も。

「お袋ちゃん、服着替えよか~」

「うん、きせて!」

「どれが、え~かな」母の服を選ぶのは、少々迷う。

「なんでもえ~やんか!」母のほうが、頓着ない。

「もう、暖かなったし、こないだ、お姉ちゃんから送ってきてくれたグリーンの服がえ~のんちゃうか?」

「へぇー、そんなん、あった~」

「着てみるかー?」

「うん、きたいわ~」

「ほれ、これやで~、え~色やろ、格好えーわ!」拡げて見せる。

「そうか?わたし、このいろスキやねん!」

「学校で自慢できるで~、00さんしゃれた服着てるなーっ、て言われるでー!」

「そうかな、そうおもうかー?」

「うん、お袋ちゃん、よ~似合~てるわ!」母も当たり前だが、れっきとした女性である。
ピンポーン、チャイムが鳴る。

「あっー、ヘルパーさんが、来はったでー」

「お早う御座います、00さん、00です」と顔馴染みのヘルパーさんだ。

「は~い、どうぞ」と招じる。私が最も信頼している、ヘルパーの00さんである。母の状況を事細かに話してくれる。私は00さんから介護の「イロハ」を教わった。母も。

「ヘルパーさんやっ、にいちゃんきはったっー、ウレしいぃーっ」子供のようにはしゃぐ母。母の満面の笑みが、00さんを信頼しきっている証左である。