テーマ「せい」で三連作
先生と先輩
「というわけで、後輩君が逃げてしまったので先生」
「何よ」
「私と二人で『せい』について語り明かそうではありませんか」
「いやよ」
「何故ですか」
「いやだからよ」
「何故です? これほど私の創作意欲を掻き立てるテーマは滅多にないのですが」
「それは貴方にとってでしょう。私にとっては抹消してしまいたいようなテーマよ」
「そうですか。その原因は、ご両親から結婚を催促され続けていることですよね」
「そうよ。それがどうしたってーのよ」
「じゃあ、結婚してしまえば『せい』というテーマに対する見方も変わるんではないでしょうか」
「何よそれ、どういう意味よ」
「私と結婚してください」
「…………何よそれ、訳わかんないわ。……別に良いけど」
「本当ですかっ?」
「べっ、別にあんたのことが前から気になってたとか、そのださい感じがちょっと良いかもとか、思ってたわけじゃないんだからねっ!」
「おや、先輩に先生、何やってんですか」
「ん、後輩君ではないか。いや何、これから『せい』について語り明かそうとしていたところだ。後輩君もどうだい」
「言いつつ肩に手を回すの、いい加減止めていただけませんか」
終わり!
作品名:テーマ「せい」で三連作 作家名:tei