テーマ「せい」で三連作
先輩と後輩
「先輩先輩、今年のテーマは『せい』だそうですよ」
「ほう。『せい』とな。それは実に興味深い主題であるぞ」
「そうなのですか」
「ああ。実に深遠かつ魅惑的な、欲望そそられるテーマである」
「…………。先輩の考えてる『せい』が何か、なんとなくわかる気がします」
「そうかそうか。賢い後輩を持てて私は幸せ者だよ」
「そうですか。そんなことは良いですから、私の肩に手を回すのはやめてください」
「私は肩などに興味はない」
「先輩、それをセクハラと呼ぶことをご存知ですか」
「知らない」
「……せいっ!」
私は気合を入れて、背後に立つ先輩の顎に、肘による突きを入れる。
先輩はがくりと崩れ落ちながら、早口で何事かを叫ぶ。
「なっ……、洒落を言いながらエルボースマッシュを決める、だ、と……」
そして先輩は、動かなくなった。
作品名:テーマ「せい」で三連作 作家名:tei