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男女四人、ツイッター物語(笑)

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 兄の好意を無駄にしたくない。そんな一心で勇気を出して頷いた亜樹美に、兄はその頭を撫でながら心底嬉しそうに微笑んでくれた。
 翌日、兄がコピーして転送してくれたDMで、冬彦さんが快諾してくれたことを知り、亜樹美は初めて、漫画やドラマでしか知らなかったような泣きたいくらい嬉しい気持ちになった。
”妹さんかー。どんな人なのか楽しみだな。”
 最後に添えられていたその一言を、亜樹美はダイレクトメールを確認する度に、何度も何度も読み返した。
 その一文から、自分を子ども扱いしない冬彦さんの優しさが垣間見えるようだった。

 そして明くる日、久々にちゃんとおしゃれをして、亜樹美は兄と、一年ぶりに電車に乗った。
 今まで、自転車で行ける所にしか行ったことがなく、引きこもってからは両親がいないと外出できなかった亜樹美にはそれは小さな冒険のようだった。
 尤も、それ以上の不安と期待、そして言いようのない恐怖に今にも胸が潰れそうな亜樹美には、そのささやかな冒険を楽しんでいる余裕はなかったが。
「大丈夫か?」
「うん、平気……」
 つま先立ちでつり革につかまりながら、本当は乗り物と人に酔って、そして胸がどきどきして吐きそうだったのだけど、亜樹美はどうにか笑ってごまかした。
 そして約束の場所で兄と手を繋いで待っていると、やがて冬彦さんがやって来た。アイコンの写真とそのままの顔だったので亜樹美にもすぐに分かった。
 携帯でTLに書き込みしていた兄に、冬彦さんはすぐに気づき、人混みをかき分けてこちらへと向かって来た。――知らない女の人の手を引いて。
「ごめん夏夫、途中で会っちゃってさ。一緒に行くって聞かないもんだから」
 携帯に向かっていた夏夫は、まず、自分の左手を握りしめたまま呆然と固まる亜樹美に目を向け、次に冬彦さんの隣に目を向けて、僅かに顔を顰めた。
 夏夫の視線は冬彦さんの肩によりかかるようにする、小顔で細身で、なのに胸の大きな女の人に注がれていた。
「晴美……」
「えへへ、そこで冬彦みつけたからさー、付いてきちゃった」
 呼ばれた名前に、亜樹美ははっとしてその可愛い女の人を。晴美という名前に聞き覚え、というか見覚えがあったからだ。