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おやまのポンポコリン
おやまのポンポコリン
novelistID. 129
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黄泉の国より帰りし子

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   岩山の一本道を幸太を背負って歩く美也子。
   今度は美也子が水筒を受け取り、喉をうるおす。
   岩山を昇りつめると、霧の中……。
   中空に浮かぶように洞窟が見えている。
   迷わず、その中に入る美也子。

○ 照永洞内
   洞窟の中、幸太をおぶって歩く美也子。
   うす暗く幸太の姿はよく見えない。
幸太「〈少し太い声で〉お母さん、喉が渇いた」
美也子「はい、はい」
   水筒を与える美也子。
   また洞窟内を歩く。
   しばらくすると……。
幸太「(さらに太い声で)お母さん、喉が渇いた……」
   美也子、怪訝そうな表情になるが水筒を渡す。
   また洞窟を行く美也子。
幸太「〈今度は明らかに野太い声で〉お母さん、喉が……」
   ギョっとなる美也子。
   思わず、後ろを振り向いてしまう。
   スローモーションで振り向く美也子の顔。
   その顔が激しい驚愕に変る。
美也子「ギャー!」
   美也子の悲鳴が洞窟内に響き渡る。
   グルグルと開店する画面。

○ 美也子の部屋。
   明るい感じの和室。
   暖かそうな日差しが差し込んでいる。
   笑顔で幸太と遊ぶ美也子。
   幸太は積木を楽しんでいる。
   眠くなったのか美也子の膝に乗る幸太。
   美也子、幸太を抱き寄せ……。
美也子「ねんねこさっしゃりま〜せ」
   子守唄を歌ってやる美也子。
美也子「寝た〜子〜の可愛さ〜」
   幸太、すやすや眠る。
   幸せそうな美也子の表情。

○ 座敷牢前
   山内、里子の他、延岡や駐在が深刻な表情でいる。
山内「この間、ここを抜け出しよりまして……」
里子「ああやって子供を連れ帰ってきましての……」
山内「それからは、どうしても離さんのです」
   全員が心配そうに覗き込む。

○ 座敷牢の中
   なかば腐敗した子供の死体を抱く美也子。
   髪はバサバサで鬼気迫る笑顔。
美也子「起きて泣〜く子〜のねんころりん……」
   幸太の死体を抱きながら幸せそうに笑う美也子。


   ――――― 了 ――――