朧木君の非日常生活(6)
「それはそうと、朧木くん。お客様がおこしなんだから場所を譲るとかはないのかい?」
蜻蛉さんにそう言われ、後ろを振り返ると。
女性が立っていた。
「夜分遅くにごめんなさい。蜘戒紫樹(ちかいしき)と言います。20歳、血液型はAB型で二重人格ではありません。星座は射手座、男性を射止めたことはないのに・・・・・・なんでなんでしょうね・・・・・・もう嫌、なんで、なんで、なんで、なんで・・・・・・」
「ちょっと待って!」
いやいやいやいや、どんだけ独特なんだよ、この人。
アイデンティティーしか感じないじゃないか。
てか、ヤンデレ? あっデレてないから病み属性の方かな?
「蜘戒さん、待っていたよ」
蜻蛉さんが、不敵な笑みを浮かべながら言った。
待っていたってことは、招かざる客ではないのね。
「蜘戒さん、とりあえず座って」
鬼火ちゃんが、蜘戒と名乗る女性にそう促した。
蜘戒さんはさながら某映画の、さ◯こみたいに髪で表情が分からない。
「さて、早速だけど話を聞いてもいいかい?」
「・・・・・・はい」
「ちょっと待ってよ、蜻蛉さん。俺、話が読めないんだけど」
あまりにも超展開すぎるよ。
「朧木くん、話は読むものじゃない。感じるものだ」
「いちいちカッケーよ!」
何も返せないじゃないか。
男に惚れてはダメだよね?
作品名:朧木君の非日常生活(6) 作家名:たし