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朧木君の非日常生活(6)

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蜘戒編 其ノ壱

 「朧木くん、この世とは不思議だよね。いくら思議したところで不可思議という答えしか出ない。いや、興趣が尽きないのかな」
 蜻蛉さんが、毎夜の如く鬼火ちゃんに会うために蜻蛉さん家に通っている俺に、これまた毎夜の如く突拍子もなく言った。
 ちなみに昨日は、『朧木くん、人類とは誰が考えたんだろうね。ヒト科というのも作ったのも結局は人じゃないか。人類は傲慢で実に無力だよね』でした。
 俺? 
 勿論、シカト以外の選択肢なんてあるわけないじゃないか。
 「朧木くん? 答えてあげなよ。蜻蛉さんが可哀想だよ?」
 こちらは鬼火ちゃん。いつもながら愛くるしくてたまらない。
 「鬼火ちゃん、いいんだよ。気にしなくて。いつものことだからね」
 相手にするだけ無駄なんだよ、蜻蛉さんは。放置プレイに徹底しよう。
 「無視しないでくれよ、朧木くん。いつになく冷たいんじゃないかい?」
 「いつもこんなもんじゃないか」
 「いつもはもっと、こう・・・・・・何て言うのかな・・・・・・? 熱くて・・・・・・激しくて・・・・・・」
 「いつからBL展開になったんだ!!!!!」
 表情を変えずに言うから更に気色悪いよ、ったく。
 想像したくもない。
 「朧木くん、BLって何?」
 「鬼火ちゃんは何も聞いてないんだ! 聞いてないんだよ!」
 「?」
 ごめんよ、鬼火ちゃん。俺は鬼火ちゃんに『BL』なんて単語を知ってほしくないんだ。
 「それはそうと、朧木くん。話を変えてもいいかい?」
 是非とも変えてくれ。迅速かつ正確にな。道を間違えるなよ、蜻蛉さん。
 「君はいつまでニートなんだい?」
 「だからお前もニートだ!」
 いつから俺だけニートなんだよ。
 「ニートも立派な職業さ」
 それ、なんかカッコよくないよね? 屁理屈だよね?
作品名:朧木君の非日常生活(6) 作家名:たし