走れキャトル!(1)~魔術師 浅野俊介 第0章~
菜々子が笑った。
「若い子の方がいいのか。」
明良が言って笑った。
「だけど圭一、どうして私だと思ったんだ?」
「なんとなく…。キャトルが必死に鳴く顔を見てたら、父さんの顔が浮かんだから…電話して…」
「へえー…」
「私はそんなこと思いつかなかったわ。缶詰あげようとしたくらいだから…」
菜々子がそう言って笑った。
「わざわざ圭一を追いかけて行ったということは、圭一ならわかってくれると思って行ったんだな。」
「…僕、キャトルに猫って思われてるのかな…?」
圭一がそう言うと、キャトルが顔を上げて「にゃあ」と鳴いた。圭一が驚き、菜々子が笑った。
「…どうもそうらしいな。」
明良がそう言って笑った。
(終)
作品名:走れキャトル!(1)~魔術師 浅野俊介 第0章~ 作家名:ラベンダー