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しん よしひさ
しん よしひさ
novelistID. 17130
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たかが映画、されど映画

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村の写真集

 2004年

監督 : 三原光尋
出演 : 藤竜也、海東健、宮地真緒、甲本雅裕、原田知世
脚本 : 三原光尋
音楽 : 小椋佳

思慮不足の先走り議員が、地元住民との意思疎通も図らず、「ダム工事中止!」とマスコミ受けだけを狙って、モニター画面の向こうで「したり顔」でほくそ笑んで間もなく、実は「想定内」の原発事故が起こり、日本中の電力事業の再見直し論議が「ダム工事」を含め現在起こっています。
あの先走り議員は、今度は党の代表候補だそうな、やれやれです。
この国の政治レベルは、いつまでたってもバラエティ番組レベルです。

 この作品は、徳島県の山間部、西祖谷山村周辺を撮影舞台に、ダム底に沈もうとしている人々の暮らしを写真に収める作業に没頭した、写真館一家の親子を描いた2004年の作品です。
 車を使わず、撮影機材を背負って一軒一軒歩いて撮り続ける父親の背中を、藤竜也が好演しています。
 人々の暮らしを包み込む自然も美しく、幾つもの葛藤をカメラの前では笑顔の奥に押し込む村人の表情も良く、その表情を残さず収める写真家の「いい仕事」も良く描かれています。
立木義浩が撮影指導を手掛けた成果なのでしょう。
 ダムの一番の罪は、生活、そのものの破壊です。
物品は失くしても、何時か又揃うこともあるでしょう。
けれど、一度失くした暮らしは、自然は還ってはきません。
そこに生きるから家族は集まり、そこに住むから待ち人は何時か帰ってくる。山裾に住む老婆が語るその意味を、残念なことに、当の住民の大半が気付いてはいません。
だからこそ、「工事だ!」「中止だ!」と手前勝手にわめく政策者の罪は重いのです。
 季節が巡り花の咲く木があるのなら、その木をその花を守ってやりたいと、この作品は伝えてきます。