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ふりーどりひ
ふりーどりひ
novelistID. 17102
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ぼくはかれを知らない

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第一項なにもない草原で、


目がかゆい。ぼくは起き上った。まるで彼女みたいな泣き声で鳴く鳥が舞っている。
ここはどこなのだろうか、どうしたらいいのだろうか。
あまりにも明るすぎて目がかゆい。慣れるまでに少し時間があった。ぼくは瞬く。
 そこは草原であった。
浮くような緑色が辺りに散らばり、時折姿を見せる光の粒たちは細かく死んでいくみたいな様子だ。きみたちのおかげで明るいね。
 ぼくは手を握りしめ、立ち上がった。さて、どこかにいかねばならぬのだろうなと、少し疲れた。あまりにも膨大すぎる時間の蓄積がそこにあり、あたかもそれは嘘であるかのように揺らめきながらぼくを包み込むのだ。
 草原を見渡してみる。地、地には草があり、その下には土がある。でもどうしてだろうか、土はそれがそうでないみたいで、ふわふわとしていた。ここはどこなのだろう。
天、天には点のような星たちが捨てられていた。そのひとつひとつが砕けまとまる様子がありありと目にとれた。
 とにかく歩を進めなければいけないな、溜息もほどほどに、沈みながら前に向かう。
思えば途方にくれていたのだろうか、その広すぎる草原にも、音を立ててここでないどこかに落ちて行くその点達を見渡せるこの天に。
 あまりにも広すぎてまるでぼくはひとりぼっちみたいになっていたんだな。
だからきっと涙が流れてきたのかもしれないな。ひかる雫は点達よりもあたたかい。
 ふと、まるで静かな中に波紋が広がった。
ぼくは体を向けた。そっちのほうから聞こえてきたよね。
「こんにちわ、どこに行かれるんですか?」突然にその音の主に話しかけられた。
「ぼくはどこにいくんでしょうか、いやはや、あなたは?」
「わたしは北風ですから南に参りますが、あなたもどうですか?」
「南ですか……。いえ、まだ。北には何かありましたか?」
「そうですね、まるで大きな家がひとつにあとは臆病なクマの家くらいでしょうか。」
「クマとはなんですか?」
「クマとは大きなもののことです。それはそれは大きいですよ。きっとびっくりするでしょうや。」
「クマですか、ありがとうございます。では、ぼくは北に向かいます。」そういって進もうとしたら、
「おまちなさい、北は寒い。これを着て行きなさい。」そういって北風はいままで着てたコウトのようなものを手渡した。
「ありがとう、ありがとう。クマにはよろしく言っておきますね。」
 ぼくは歩き出したんだ。