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東西異同

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「……で、コイツが一緒に住めば一石二鳥だとか何とか言って、うっかり口説き落とされた俺がうっかり承諾。それから海都の親に確認の電話して、即行で寮止めて今の家に越してきた。以上」
終始無表情で語り終えた大地は「思い出したかよ」と目の前で最後の一本を口に入れた海都を軽く睨んだ。
あーそんなんだったそんなんだった言いながらうどんの汁を飲み干して器をドンと盆の上に置いた海都を、諏訪が呆れた目で見やる。
「はー……。なんつーか、お前らのズボラな合理主義とケチ臭さが今の状態を作り出したってワケか」
「誰がズボラな合理主義だっつの」
「俺はケチ臭い訳じゃない」
「お前ら以外に誰がいる」
「俺は無駄な金を出すのが嫌いなだけだ」
「お前の基準がわかんねーよ。家賃やら光熱費は出すの渋るくせに財布やら何やらは海外ブランドって」
「それはコイツの家が金持ちだからなだけ。基本の感覚が違うんだよ。普段の無駄遣いとか大っ嫌いなのはただの大地の性格」
「でもさ、家賃とか抜きにしたら山手のが負担デカくねェ?」
あくまで金銭面的な援助は海都の親からによるものであり、全く家事が出来ないらしい海都の分まで料理や洗濯をやらなければならない大地とでは日常生活の面でフェアではないのでは、と諏訪は首を捻る。
「あーそりゃ大丈夫。コイツスッゲー人使い荒いから。買いモン行ってこいーとか、アレ取れコレやれソレしろってうるせーのなんの」
「へぇ」
「……どっちかってーと、俺のが割りに合わねー気ィすんし…」
「海都」
少々意味あり気に渋い顔をして呟いた海都の言葉を遮る様に名前を呼んで、大地は自分の食べた器を持って立ち上がる。
「次の教室北館だろ。時間ギリギリに走ってくの嫌だからさっさと行くぞ」
「おー。じゃーな、諏訪」
「ん」
食器を返して食堂を出て行く二人の後姿にヒラヒラと手を振った諏訪はポケットから携帯を取り出して親指で開く。
右上に表示されているデジタル時計の時刻は、まだ授業までかなり余裕のある数字を刻んでいる。
まったく、ノロケに付き合わされるのも、結構疲れるもんだ。
「……随分と仲がよろしいよーで」





作品名:東西異同 作家名:矢吹