東西異同
「なぁ、お前らってなんで一緒に住んでんの?」
テーブルに片肘をついてポツリと呟いた友人の言葉に、啜っていたうどんの麺を銜えたままの海都は「は?」という表情をして顔を上げた。
「ふぁふ……」
「いや、食ってからでいーし」
「汁飛ばすなよ。汚ェから」
「……っ、ん。なー、大地のアクエリちょいくれん?俺のもう飲んじゃってねぇんだわ」
「あんま飲むなよ」
「ちょっとしか飲まねーって。……で?何て松本?」
「だぁから、なんでお前らが一緒に住んでんのかって話」
大地から受け取ったペットボトルを一気に呷った海都は少し考えるように目線を逸らしたが、すぐに松本の方を見て「忘れた」と欠伸交じりに返す。
その言葉にピクリと反応したのは松本ではなく、大地。
大地から滲み出る黒いオーラに気がついた松本が気を利かせて海都に話を振る。
「……あー、あれだ。お前ら始めて会ったの、ここ入学してからだろ?」
「当たり前。俺旅行以外で関西出たことねーもん」
「でも今はお前ん家に山手も住んでるワケだ」
「大地はもともと大学の寮入ってたんだよなー」
「へぇ?」
「まぁな。おい、お前飲みすぎ」
「あー!」
取り上げられたペットボトルを追って手を伸ばすが、明らかにあるリーチの差に悔しそうに眉を顰める。
小さく舌打ちして、諦めたように椅子の背もたれに体重を預けた。
「そんで?」
「んーまぁ大学入って大地と会って色々あって、寮やめてウチ来いよ、みたいな」
そんな感じやんな?と話を振られた大地は不機嫌さを隠そうともせず、「その色々ってとこは覚えてねーのかよ」と海都を睨んだ。
「お前覚えてんならお前が喋れよ。俺は細かいことは専門外」
「……わかった」
「お、山手が素直」
「その代わり、この俺がわざわざ言ってやるんだから、二度とわすれんじゃねーぞ……」
「……はーい」