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二つの痣

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それほど強くぶつけたつもりはなかったが、左腕と右脚に大きな痣ができていた。
それまで痣などに興味を持ったことはなかったが、姿見の付いたクローゼットを開く度にそれは、否が応にも目に付いた。
日に日に色を変え、形を変えるそれが気になって、私はいつの間にか痣を観察するようになっていた。



初日は薄い青色。
学校から帰ってきても、それほど変化はなかった。

二日目になると、腕と脚で痣の色がほんのり違っていた。
腕が赤紫。脚が青紫。
学校から帰ってきた時には、その違いは顕著になっていて、並べたその対比が綺麗だと思ってしまった。

三日目は、色の濃い部分の周りに黄色い縁取りができはじめていた。
折角の鮮やかな色がぼやけて見えて、何故か残念な気分になった。

四日目は、腕の痣がだいぶ黄色味が強く、薄くなっていた。
脚の痣はまだ残っていたけれど、なんだか味気なさを感じた。
その時になって初めて、二箇所同時に痣ができたからこそ、これほどまでに気になったのだと気付いた。

五日目。もはや腕の痣はほんのり黄色を残すのみだ。脚の方は薄れてきてはいたが、まだ紫がかっている。
けれど、私はもうそれに興味を失いつつあった。
私はクローゼットをしっかりと閉め、いつもと同じように学校へ向かった。
作品名:二つの痣 作家名:akr