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インフルエンザで過ごす夜

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 現状以上に悪くなることはないと思っていたが、この状態でこの男に好き勝手を許すくらいなら死んだ方がましかもしれない。
 サディストの対人テロリスト。
 「ひどい顔だな、克紀」
 遙は楽しそうにくくっと笑った。
 ひんやりとした手が脇腹を撫でる。
 克紀は遙のやりそうなことを一通り想像してみてうんざりした。
 どこまで堪えられるだろうか。
 体が、ではない、彼の理性とプライドがこれから与えられる屈辱にどこまで堪えられるかだ。
 熱に浮かされていたからだと自分に言い聞かせて甘んじてそれを受け入れるか?
 逃れる術はもうないのだ。
 「無防備だな。いつもはハリネズミみたいに棘だらけのくせに」
 遙の手がはだけられた胸を撫で回し、指先が一点を求めて這い回る。円を描くようにゆっくりと――。
 そんなことなど決して求めてはいないのに、焦れったさが彼を追い詰める。
 「…ぁ」
 克紀はたまらず声を上げた。
 頭のどこかで理性もしまったと声を上げる。
 「克紀ぃ、らしくないじゃないか、え?」
 遙は克紀の胸の突起を摘んで爪を立てた。
 反射的に体が跳ね上がる。
 「…っは…ぁ…」
 元々荒い呼吸が乱れるのを抑えられない。
 ――こん…な…。
 この俺が何の抵抗もできないなんて。
 こんな好き放題されて手も足も出せないなんて。
 はねのけることはおろか、拒絶することも睨み付けることすらろくにできないなんて。
 目を開けても遙の姿を捉えることさえまともにできるかどうか。
 「なあ、いつもの憎まれ口はどうしたよ」
 遙は克紀の様子をうかがいながらベッドに膝を乗せた。
 腰から下に掛かっている薄手の羽毛布団をめくり上げ、足を取る。
 足の間に体を入れて膝を開かせる。
 克紀の体は何の抵抗もなく遙の自由になった。
 「克紀、おい――――」
手は相変わらず克紀の体の敏感な部分を探りながら、遙はため息をついた。
「おい――――何だよ。たく、つまんねえ。体中に玩具ねじ込んで壊れるまで遊んでやろうと思ってたのに――、やめだ。抵抗もしないお前なんかやったって面白くもなんともない」
 遙はつまらなそうに克紀のパジャマの前を合わせた。
「天野を呼んでやろうか?」
克紀の顔を覗き込む。