蛇の目
先日、月次の祭りを拝見いたしました。
「あぁ、今でも大切に御祭りしておるさ。
ホレぁ、聞いたことあるだろ。
建速須佐之男命がこの葦原中国に降りてこられて、
出雲の国でヤマタノオロチを退治したって。
ここん白ヘビさまぁいうんとさ、そのヤマタノオロチの
頭のひとつとも、親類とも云われておるヘビさまでな。
この北の地方全部を支配されておったということじゃ。
地祇のひと柱なんだぁ。」
「バブルの後の話を聞きたいんだろ?
ひととして昭和天皇と共にわしは終わったんだ。
そりからぁわしはこの地の再興を祈り、
白ヘビさまを、静かにお祭りしてきたんじゃ。
それについちゃ、また明日ぁ、な。
うん。今日は、ここまで。」
その日のインタビューは、静かに終わった。
玄戒村の夜はとっぷりと暮れていた。