蛇の目
「そもそもよ、あれん家はさ、新潟ん方からきたアブレモンさ。
昔ぃ山本ん家の土地狙ってきてさ。多くは撃退してやってさ。
だけんどもぉ、小作の人手も必要でナ、ここん土地じゃぁ。
白ヘビさまぁに、お伺い立てたらさぁ、
生かしておけば別な使い方もあろう、いわれてぇ・・
んまぁさ、それなりの使い方もできたんだわ。」
「それん、バカ息子はさ、小作に土地ぃ売っちまいやがってさ。
“え“に”え“くれてぇ、どうすんだか・・。」
“え“というのは・・。すいません、わからなくて。
権造は、呆気にとられた一瞬のあと、笑いながら云った。
「“え“というは、このあたりで使ってる言葉さァ、
んま「食い扶持」って感じの意味さ、
ま、んなぁこと、忘れてくれぃなぁ」