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蛇の目

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 ④二日目



朝食のときに市彦氏から、やはり午後の一時に来るようにとの
メッセージを受け取った。
健康的な朝を迎えると、午後に予定された今日のインタビューの前に
前日の話しで出た白ヘビさまの祠を見に行った。
丁度、月次の祭りが執り行われていた。
それは小さな祠だったが、20 人ほどの村の人たちが集っていた。

皆、神妙な表情で祭祀を執り行っていたが、どことなく他の神事とは違う
様相を呈していた。儀式が終わり、神職に尋ねる機会を得た。
「こちらの神様というのはそれはもう大変古い神様でね。」
「神様というのは、神道の世界では二種類いるわけですよ。
天から遣わされた神様とそれ以前から大地におわした神様と。」

天神地祇・・という・・?
「その例えで云うなら、地祇の方ですな。
太古の昔よりヘビの姿を借りて、この大地を支配しておられた神様です。
ですから通常の神事とは違って、ここ独自の奉り方がありまして、
それが奇異に思われる所以でしょうね。
常に頭を下げつづけながらの作法というのは。」

地を這うヘビより頭を下げるというか・・

「まさしくそのとおり。」

「たいへん霊験あらたかとでもいいましょうか。おちからの強い神様でね。」
山本家の代々の宗教なのですか?
「いや、山本さんは家はここの神様の守役を任されたお家柄なのです。」
作品名:蛇の目 作家名:平岩隆