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ラベンダー
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魔術師 浅野俊介7

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「…消滅なんて無理だよ。」

浅野はそう言って、飛ぶ光を両手で受けた。

「悪魔の赤ちゃんだ。」

浅野はそう言って微笑んだ。

「いつか必ず救いが訪れますように…」

光は天井へ舞い消えて行った。

「…とと、急げ急げ!」

浅野は慌てて、圭一の体に手を置き、人差し指を額にかざした。

「転送!」

その声とともに、2人の姿が消えた。

相澤が間一髪で入ってきた。

「あれ?鍵閉めるの忘れてたっけ?…ま、盗まれるのもないけどな。」

相澤は鼻歌を歌いながら、椅子に座った。

……

浅野は保健室にいた。圭一を寝かせている。

「圭一君!!」

菜々子が慌てて入ってきた。

「圭一君が倒れたって…」
「ええ…ちょっと疲れていたようですね。」
「…気がつかなかったわ…母親失格ね。」
「そ、そんなことはないですよ!…圭一君って、結構ぎりぎりまで我慢する人だから…」
「…そうなのよね…。本当の母親なら何か勘が働くんだろうけど…」

浅野が否定しようとした時、圭一が目を覚ました。

「!?圭一君!!大丈夫!?」
「母さん…?」
「ええ…私だけど…大丈夫なの?」
「…!!…」

圭一がいきなり起き上がって、菜々子の体に抱きついた。

「!?圭一君!?どうしたの!?…何か夢でも見たの!?」

その時、明良が飛び込んできた。

「圭一!!」
「!?…副社長!?」

浅野を始め、全員が驚いた。

「浅野君からの電話が何かおかしかったから…心配になって帰って来たんだ。」
「え…あ…すいません…」
「圭一が倒れたって聞いて、やっぱり…って…」

浅野と圭一はふと目を合わせて、下を向いた。

「浅野さん…圭一に口止めされたんですね。」
「え?いえ…私が勝手にその…」
「これからは、ちゃんと言ってください。…ただでさえ圭一は…私達に気を遣って、わがまますら言ってくれない…。」
「…父さん…」
「お前も…体のこととか…耐えるのはやめるんだ。…逆に私も菜々子さんも辛くなるから…」

圭一の目から涙がこぼれた。

「はい…ごめんなさい…」
「やだ!もう明良さんっ!!」

菜々子が明良の腕をバシッと叩いて言った。

「…圭一君、怒ってる訳じゃないのよ。心配なだけ。」
「そうなんだ…ごめん…圭一…」

明良が腰をかがめて、圭一の背中を撫でている。
浅野は微笑んで、そっと保健室を出た。

キャトルが足元にいた。

「おおっ!キャトル!どこにいた!?」

キャトルが浅野の肩に飛び乗った。

「よかったよかった…リュミエルは?」

反対側の肩にリュミエルが現れた。
浅野は周りを見渡して、瞬間移動した。

……

非常階段の3階部分で、浅野はリュミエルとキャトルと話していた。

「で、リュミエル…どこにいたって?」
「…魔界の果てだよ…プロダクションの人達と一緒にやられてしまって…」
「それで見えなかったのか…キャトルもそうか?」
「にゃあ」
「よほど強い悪魔だったんだな…」
「何か向こうのやることが狡猾になってきているような気がするんだ。」
「ん…確かにそうだな…」
「…それも、マスターの命まで狙うなんて…」

リュミエルはそう言い、唇を噛んでいる。
浅野は、急に思い出した。

「あっ!!」
「?」
「巽と一緒に写真撮ってもらうの忘れてたっ!!」
「??????」

リュミエルとキャトルは顔を見合わせている。

「えーーん…撮りたかったよー…」

浅野が手摺りに顔を伏せて泣くと、リュミエルとキャトルがなぐさめるように、浅野の頭をとんとんと叩いた。

(終)
作品名:魔術師 浅野俊介7 作家名:ラベンダー