祭りのあと
その頃、駅では浩二が電車に乗り込むところだった。
「じゃあ、元気でね」
「うん。おまえも元気でな。帰ったらちゃんとおまえのお袋さんに話すから」
あかねは深くうなずいた。
「三年はちょっと長いけど。待ってるから」
「え?」
あかねのことばに浩二がきょとんとしたとき、電車のドアがしまった。
「………」
浩二が何か言っているが、あかねにはよく聞こえない。
──まったくなにを勘違いしているんだか──
浩二は座席に座ると、窓から顔をのぞかせ、あかねに手を振った。
「ま、いいか。またビックリさせてやるか」
浩二はくすっと笑った。
あかねは、浩二の乗った電車をいつまでも見送っていた。