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せき あゆみ
せき あゆみ
novelistID. 105
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祭りのあと

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 その頃、駅では浩二が電車に乗り込むところだった。
「じゃあ、元気でね」
「うん。おまえも元気でな。帰ったらちゃんとおまえのお袋さんに話すから」
 あかねは深くうなずいた。
「三年はちょっと長いけど。待ってるから」
「え?」
 あかねのことばに浩二がきょとんとしたとき、電車のドアがしまった。
「………」
 浩二が何か言っているが、あかねにはよく聞こえない。

 ──まったくなにを勘違いしているんだか──

 浩二は座席に座ると、窓から顔をのぞかせ、あかねに手を振った。

「ま、いいか。またビックリさせてやるか」
 浩二はくすっと笑った。

 あかねは、浩二の乗った電車をいつまでも見送っていた。
      
作品名:祭りのあと 作家名:せき あゆみ