完結してない過去の連載
美しく華憐な君。
願わくば、どうか僕の方を向いて...
姫様はいつもいつも兄ちゃんしか見ていなかった。
兄ちゃんが死んでしまっても兄ちゃんしか見ていなかった。
姫様もそのうち死んでしまった。
王はせめて未来の姫様には長生きしてもらおうと僕を未来に飛ばした。
愛しの愛しのラプンツエル....
「ミケ、んじゃ私B社に行くから」
「わかったぁ...」
「...なんだ、ついて来てくれないんだ」
「え?なんか言った?」
「別に。なんでも」
「ふーん....」
来世の姫様は変だ。
自分のことそっちのけで仕事に燃えてる。
あほらしい...
正直似てない。
姫様は金髪で、カールで、髪がうんと長くて、そして、そして...
春みたいだった。
ところが、こっちときたら...
せっかく綺麗な髪なのにおだんごにしちゃってるし、おばあさんみたいに眼鏡してるし、(そういえば未来のやつらは眼鏡が多いなぁ)それに...時々とてつもない冷たい目をする。
本当に子孫なのか...?
「あ」
「ん?なに?」
「さっきは助けてくれてありがとね」
...ふーん
笑った顔は姫様に似てるな。
愛しの愛しのラプンツエル....
願わくば、僕を...
作品名:完結してない過去の連載 作家名:川口暁