完結してない過去の連載
『コンコン』
「しっ失礼します...」
いた!!
ズン様はものすごい量の書類に目を通していた。
「そこに置け」
始めて会った時とは随分違う態度に驚いた。
(ちょっとむかつく..)
皿を置く。
「しつれいしました。」
「待て。」
「...?」
「明日≪お客様≫が来る。」
「はぁ...」
「...」
「あの?もう行っても...」
「夜には気をつけろ」
「..?」
次の日。
私はライヤと一緒に庭の掃除をしていた。
言葉にすると簡単だが、この屋敷自体がもの凄くでかい為、庭もとてつもなく広い。
だから掃除をするだけでほぼ1日を費やしてしまった。
「もう暗いねぇー..」
ライヤが呟く。
「そうですね...」
その時だった。
私は急になにかに引っ張られて、ガクンッと倒れこんだ。
私は寒気がしてそっと下を見てみると、なんと地面から伸びてきた腕が私の足を引っ張っている!!
そして周りにも大量の腕が伸びていた。
「ラッライヤ!!助けて!!!!」
「へっ!えっ..でも私、モノを浮かすことしかできないよお!!この腕は地面に埋まってるから動かせない!..それにものすごく強い力なの!!!」
「そんなっっ...!」
その時急に腕の力が弱まった。
顔を上げてみると、雪子が立っていた。
何百本もの腕が地面もろとも凍っている。
「雪子さんっっ!!」
ところが肝心の雪子さんはス...っと睨んできた。
「早く逃げろ。邪魔だ。」
雪子がまたも腕に攻撃しようとしたとき低い声が聞こえた。
「やめろ。≪お客様≫だ。」
ズン様が立っていた。
作品名:完結してない過去の連載 作家名:川口暁