完結してない過去の連載
今日は高校のボランティア活動で(孝平に誘われ)地域清掃に来た。
なんもやらないのもあれだし、頑張りすぎんのもあれだからちょうどいい具合に適当にやっといた。
孝平は馬鹿だけど根はけっこー真面目なのでもくもくとやっている。
「あちー…」
「ボスのむ?微糖だけど」
「俺無糖も微糖もOKだから!サンキュ」
…とやけにさわやかに返事をして缶コーヒーを飲む孝平。
うらやましい
なにがうらやましいって、
「俺将来小学校の用務員さんになろっかなー」←こーゆーところ。
ピザや行ったときは「ピザやになろっかなー」で、美容院に行けば「美容師になろっかなー」…である。
俺んちに来たときは「俺本屋開く!」とか言って俺の両親を喜ばせてた。
でもいつもいたって本気。
…うらやましい…
「…なぁ達彦」
「ん?」
「なんかあの女俺らのことさっきからずっと見てない?」
「…」
日陰のベンチに座っている髪の長い女。
こんな真っ昼間の、軍手はめた学生が集まりまくってる公園によくぞ入れる…
「どーでもいいよ」
他人は。
「どーでもいいって何」
急に女が立ち上がった。
「どーでもいいって何」
「…」
めんどくさいことになった
俺はこの世で一番何が嫌いかってめんどくさいことだった
「すみません」
ここで反抗するともっとめんどくさくなると思いとりあえず謝っとく。
「何で謝るのよ」
「…」
そうきたか…
「何?そんな人生適当に生きててなにが楽しいわけ?」
…女は出会ってそうそう俺の本質をついてきた。
「じゃあ聞くけど君は何でそんなに人に質問ばかりするの」
「別に。変だと思ったらはっきり理由を聞く。…当たり前のことよ」
…面白い…
「そうかありがとう。人生のいいお手本になったよ」
でもめんどくさい。
俺はもう帰りたい…
「ごめんなー!達彦は無口だから!」
なぜか孝平が謝ってる。
俺は無口じゃない
ただ…
「どうして無口って決めつけるの」
「え?」
笑顔のまま固まる孝平
「ただ他人に自分の気持ちを見せるのが怖いだけじゃない。あんたたち友達じゃないわけ?」
孝平が悲しそうな顔になった
なんでだ…?
「だって達彦俺のこと信用してくれてないもん…」
人間って不思議だ
伝えないと気付かないこともあるのに、伝えてないのに知ってるときもある
作品名:完結してない過去の連載 作家名:川口暁