詩集 『天―AME―』
『失った色』
水色の穹、優しい風
いつもと同じ日常で変わったのは一つだけ
君の隣に僕がいない
どこかで君が呼んでる幻聴
どこかで君が見ている幻覚
知っているもう君はいないのだと
世界は緩やかに色彩を失い
モノクロ世界に変わってゆく
朱鷺色の穹、柔らかい風
いつもと同じ変わらない日常
あの時と違っているのは一つだけ
僕の隣に君がいない
君の声を訊きたい
君の顔を見たい
君に触れたい
でも知ってるんだ
君は世界中のどこにもいないって
彷徨い歩く僕の先に君は待っていない
どこか幻を見ているんだろう
あの頃の幻想を僕は見ている
教えてほしい
僕は誰に許しを乞えばいいのかと
どうして君がいないのかと
どうすれば君に会えるのだろう
君はきっと怒るね
作品名:詩集 『天―AME―』 作家名:柳 遊雨