詩集 『天―AME―』
『生と死の連鎖』
狂ってしまいたいと何度願っただろう
信じていない神に縋っても
繰り返される惨劇と悲しみ
陥れられる命と
孤独に身を落とした支配者の
終わりのない連鎖
壊れた歯車を誰も直す術を持たず
噛み合うこともない機械に
差し伸べることもできない
小さな祈りは巨大な闇に取り込まれて
消えていく
生きていくことが苦痛だと
誰も止めることもできないのなら
狂って全てを破壊しつくしてしまいたい
望むこともできないなら
この脳髄を腐らせ溶かしてしまいたい
選ぶ途もないのなら
潔く死を選ぼう
何故?
誰もが口にした疑問も消され
現実を突き刺す
答えなど最初から存在しないのだと言わんばかりに
甘い誘惑と隣り合わせの恐怖
誇りを忘れた騎士がその手で奪うのは
かつて自分が愛したモノたち
崩壊と滅びに向かう
その先には
静かな平和が待っている
悲しい平和が迎えてくれるだろう
君に残そう
私が生きた証を
君と生きた歴史を
もう
逢えなくなるのなら
一瞬の生を残す証を
君に贈ろう
言葉を
気持ちを
形に残せなくても
どうか
心に響いて
出逢えたことに感謝
今生きてゆけることに感謝
誰かを思い思われる
世界を好きだと宣言できる
生きてゆくことの奇跡
生まれるこの奇跡
望まれ望んで
今を生きよう
命がうつくしく輝くように
作品名:詩集 『天―AME―』 作家名:柳 遊雨