詩集 『天―AME―』
『大切ナモノ』
誰かの言葉を聞いて
フッと気がつくことがある。
何が大切だなんて
失ったときに初めて気づく。
それが、どんな代償を払おうとも覆せないもの。
どれだけ、泣いても
どれほど、叫んでも
失ったものは還らない。
どれだけの希望だったろう。
どれほどの愛情だったろう。
気づいたときにはもう離れ離れで
この手をすり抜けていく。
大切なものは
いつも傍にあった。
それが、当たり前だと思っていた。
だから、気づかなかったんだ。
思えばそう、あの時だって
キミは笑っていた。
キミはどんなに辛くても
花が咲いたように
ただ、笑顔だった。
失ってはじめて気づく
キミの存在の大きさに。
わかっていたつもりだった。
でも、わかっているはずが無かった。
当たり前だと思っていた毎日が、
無常に過ぎ去る日々が、
もう二度と来ないことを、
ボクは忘れていた。
もう一度キミに会いたい。
会えるなら
キミの声を聞きたい。
キミにありがとうと
サヨナラを伝えたい。
作品名:詩集 『天―AME―』 作家名:柳 遊雨