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恋の掟は冬の空

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火曜日の午後は高校生と


朝から雨で、午後になってもやむ気配はまったくなかった。

「柏倉さーん いますかぁー」
病室の入り口のほうから夕子らしい声だった。
「いるけどー 」
カーテンを開けて顔をだして答えていた。
「えっと、友達お見舞いに来てくれたから これからロビーで休憩でーす。報告だけでーす。以上でーす」
元気に笑いながらだった。夕子の後ろには友達が2人だった。
そのまま 足早にロビーに向かうようだった。
今日は午前中に、ロビーに行っても夕子を1度も見かけなかったから、昨日言ったようにお昼まではきちんと勉強をしていたようだった。
笑顔だったから ほっとしていた。
「なんなんですか、今のは・・」
ベッドの上の高校生の浩君に聞かれていた。たぶん夕子と同い年のはずだった。
「うーん、よくわかんないやー あ、夕子のこと好きなら一緒にロビーでも行けばいいじゃん。俺が一緒にいってあげようか・・友達もいたぞ・・」
「好きとかじゃないですよー かわいいなぁーって思うだけですから・・かわいいですよねー・・」
ベッドで腕を吊って、肋骨が何本か折れているらしい浩君は顔を少し赤くしてだった。
「あ、浩君ってベッドからあんまり動いちゃいけないんだっけ・・忘れてた・・・」
「車椅子なら、なんとかですよ。でもいいっすよ。めんどくさいですから・・手を借りないと車椅子に移動むずかしいから」
車椅子に乗る時にはナースの手をいつも借りていたのを思い出していた。
病室の他の2人の高校生はどっちもまだ、足を空中に吊られていたし、1人なんか腕まで空中に吊られていた。とっても、浩君を車椅子に乗せるのを手伝うなんて無理だった。
「あー ムリっすよ」
その手も足も空中に吊られている、入院している高校生の石田君と顔があったら言われていた。
「わかるってば・・」
お互いに笑いながらだった。
「じゃぁ、このボタンでナース呼んじゃうか・・浩くん」
「あ、いいですって、そんな事までしてロビーで女の子と喋ってたら何を言われるか・・」
確かにって思って一人で笑いを抑えていた。
「うん、そうね。それ あってるわ」
「でしょー 特に、寧々ナースはあぶないですよぉ。今日、日勤だし・・やめときます」
首を横に振りながらだった。
「じゃー 今度、夕子がこの病室に来たら一緒に話でもしますか・・」
「えっと、すいません よろしくです。それ、けっこううれしいです」
うれしそうな顔の浩君だった。
「あのー その時は 俺もー」
「うわー 僕もお願いしまーす。柏倉さん」
違うベッドから2人の高校生の大きな声だった。
けっこう笑ってその声を聞いていた。

「彼氏とか いるんでしょ、きっと・・」
腕も足もの 石田君だった。
「不思議だけどそれはないらしいよ、でも好きな人はいるらしいよぉ。どうするよ、ここの誰かだったら・・」
「それは ないでしょ。だーれも喋ったことないもん。俺もいれて・・」
浩君が呆れてだった。
「そっかー 好きな人いるのかぁ いるわなぁー そりゃあなぁー」
うなづきながら浩くんが続けて喋っていた。
「そりゃあ 好きな人ぐらいはいるよ。でも、あきらめちゃうのー 知らないよー俺・・夕子っていい子だよー」
3人を見渡しながら言っていた。
「あ、なんかむかつくー 柏倉さんは彼女いるからって・・なんかヤナ感じー」
浩君は怒った顔で笑いながらのだった。
「ま、でも、いい子だから、話はしたいんでしょ、えっーと、全員かなぁ・・」
3人の顔を見渡すと みんな うんうんって大きくうなづいていた。

「うんじゃー まー 俺はロビーにでも行って来るわー。仲良くお留守番しててねー」
言いながらもう杖で歩き出していた。
もちろん 後ろから「きったねぇなぁー まったく・・」って声が聞こえていた。
「えっと、帰りに夕子を連れて帰ってくるかもですから・・みなさん、準備しといたほうが いいかも・・友達もいたから3人連れてくるかもですよー・・」
廊下に出てから振り返って3人に笑いながら声をかけていた。
「うぉー おぉー って奇妙は声が病室に響いていた。
男4人はこんなもんだった。

ロビーに行くと夕子達は窓際の奥の席で話をしているようだった。
「あー こっち来ませんかぁ・・」
缶コーヒーを持っていたら声をかけられていた。
うなづいて近づくと、空いていた椅子を友達が差し出してくれていた。
「休憩中ですから・・午前中はしっかり勉強しましたからね、柏倉さん」
元気な声で言われていた。
「そっか、じゃあ おもいっきり休憩してなさいよ 受験生は・・」
「あー なんか 受験生って言われるのって、いやなんだけどー」
「事実だから、それ。現実受け止めないとね・・」
友達は笑顔で聞いているようだった。
「みんなも受験なの・・」
同級生なんだろうなって思って聞いていた。
「私たちは、・・もう決まってるんです」
夕子がいたからなのか、遠慮がちのような声だった。
「そっかぁ 」
「ここで 悲しい受験生は私だけだぁー」
大げさに泣くふりをしながらの夕子だった。
「あ、でも、夕子は学校でも成績いいからたぶん大丈夫だと思います。私たちは、アホなんで・・」
髪の毛の短いスポーツをやってそうな女の子が笑いながらだった。
「付属だから そのまま上の大学に二人ともいくんんだ?」
「違いますよー この子達はバスケット部で全国大会にも出てるから・・女体育大に推薦と日体大に推薦で入学です」
言われてみれば、二人とも身長が大きな子だった。
「でも、アホなんです」
もう一人も同じ事を言って笑っていた。夕子も笑っていた。
俺も笑いそうで 困っていた。

昨日と比べりゃ元気そうでなによりの夕子だった。

作品名:恋の掟は冬の空 作家名:森脇劉生