恋の掟は冬の空
「がんばっても どうにもだと思うんだけど・・」
直美も俺も少し笑っていた。
「少し座って休憩ね・・」
運よく木でできたかわいいベンチに座ることができた。
「けっこう 暖かいね、劉。ここ風がちょうど来ないや・・」
「そうだねー 天気いいねー」
冬の青空が広がっていた。
「寒くない?大丈夫?劉・・」
「うーん。少し寒い・・・」
「えー やだぁー トレーナーの上にセーター無理やり着込んでくればよかったかなぁ・・ じゃぁ 早く帰ろう」
「いや、うーん。部分的になんだけど・・ほかは平気なんだけど・・」
「なに言ってるのぉー」
「いや、だから体は平気なんだってば・・」
「だって 寒いんでしょ」
「うん。だから ここだけ」
「あー 気がつかなかったぁ ごめん」
「俺もさっき気がついた」
俺のギブスの指先はまったくの裸足だった、指が5本綺麗にだった。
あわてて、直美がポケットからハンカチを出して包んでくれた。
少しだけ あったかだった。気持ちはもっと暖かになっていた。
声を出さずに二人で顔を見合って笑っていた。