妖怪警察
もうあれから十年が経って僕はもう二十六歳になった。今僕が就いてる職業? 作家をやっている。白さんと約束したことを人間に伝えるには文だろうと思ったからだった。僕はもともと文系に進むことを決めいていたのでちょうどよく、そして目標に到達するのは早かった。大学を卒業して三年ほどいろいろな賞に応募し落選を繰り返していたが、去年念願の賞を受賞した。受賞された本は、今やベストセラーになっている。その本がヒットしたせいか結婚もできた。黒さんのアドバイスがここまで効くとは思ってもなかった。
今でもあの頃を思うことがある、もしあの時黒さんと僕は出会えてなければ第二次百鬼大夜行は起こっていたんだろうか? とだけど結局は黒さんと僕が出会えたのは奇跡か偶然であって、もしもなんて予想できないんだとで終わってしまう。
ただ僕は黒さんと会えてないのが寂しい、だからあの頃をよく思う。僕はあの頃の姿に戻れはしないけどいつまでも変わらない黒さんと初めて出会ったあの路地に散歩道の一部として歩いている。
「昇格したからってほっとかないでよね、黒さんのバカ」
いつの間にか口にでていた心に溜まっていた言葉。
「誰がバカだ、バカ誠」
そして、聞こえてきた懐かしい声振り返れば……黒いつやのある髪がなびいている。
「ずいぶん歳とったな、誠」
「黒さんに追いついちゃったよ、いやだな人間て」
「長く生き過ぎるのもおっくうだぜ?」
「はいはい……まあ、とりあえずお帰りなさい、黒さん」
「ああ、ただいま」
久しぶりにみた黒さんの笑顔は日差しに照らされて髪が白く見え、それが白さんが笑っているようも見えた。
あなたに妖怪が見えなくても、信じてなくても僕は妖怪は悪じゃないと伝え続ける。
僕の大切な友達の笑顔ために……
完