果てる世界に微笑んで 第ニ話
第二話 十手使いと姫君
下駄に着物の優男。笠の陰から覗く顔は、お兄さんというのは難しいが、おじさんとも言えないような人。暗闇に足を投げ出し、薄明かりに視線を漂わせる。
この男、名を東城空夜という。
「如何なさったのですか」
東城の隣で座り込んでいた少年、シロガネは、思わず、木の柵の向こうら佇む女性に、驚きの声を上げてしまった。
艶やかな黒い髪に、白い肌の美しい少女。その色鮮やかな着物から、姫君であることが分かる。端麗な顔には、僅かな憂いのような影が差している。それがまた、少女の美しさを引き立てていた。
「どうしたんでしょうねぇ」
シロガネの隣にいる人物は、笠を取り、この場所、つまり牢屋には、似つかわしくない少女に、ふわりと微笑んだ。
丁度その頃、地下牢の上、つまりこの少女の屋敷は、騒然としていた。
「姫は、何処に」
「明日には御輿入れだぞ」
「姫を探せ」
響く声。途絶えぬ足音。そこは、静かな地下とはかけ離れた空間になっていた。
下駄に着物の優男。笠の陰から覗く顔は、お兄さんというのは難しいが、おじさんとも言えないような人。暗闇に足を投げ出し、薄明かりに視線を漂わせる。
この男、名を東城空夜という。
「如何なさったのですか」
東城の隣で座り込んでいた少年、シロガネは、思わず、木の柵の向こうら佇む女性に、驚きの声を上げてしまった。
艶やかな黒い髪に、白い肌の美しい少女。その色鮮やかな着物から、姫君であることが分かる。端麗な顔には、僅かな憂いのような影が差している。それがまた、少女の美しさを引き立てていた。
「どうしたんでしょうねぇ」
シロガネの隣にいる人物は、笠を取り、この場所、つまり牢屋には、似つかわしくない少女に、ふわりと微笑んだ。
丁度その頃、地下牢の上、つまりこの少女の屋敷は、騒然としていた。
「姫は、何処に」
「明日には御輿入れだぞ」
「姫を探せ」
響く声。途絶えぬ足音。そこは、静かな地下とはかけ離れた空間になっていた。
作品名:果てる世界に微笑んで 第ニ話 作家名:松川京