朧木君の非日常生活(5)
神隠し編 其ノ三
気付いたら俺と蜻蛉さんは、見晴らしのいい草原のような所に立っていた。
後ろを振り返ると、一本の赤い橋が細い川を跨いでいた。
二人は無言を貫き、共に橋を渡った。
一歩一歩確かめるように。踏みしめるように。
そして天を仰ぐ。
――快晴
雲一つない快晴。
二人の感覚は丑三つ時なのにも関わらずだ。そして蜻蛉さんは結論を言った。
「――神隠し」
そう、俺と蜻蛉さんは神隠しに会った。希望通りに期待通りに。会いたくなくて、でも会いたかった現象。
「神に隠されたか、はたまた僕らが神を隠したのか」
そんな言葉遊びはいらないよ、蜻蛉さん。
「それはそうと朧木くん、僕たち現世では行方不明だね。この場合『現世』という呼び方が正しいのか分からないけどね」
縁起でもないこと言わないでよ、蜻蛉さん。
「大丈夫だよ、君はニートなんだからさ」
「お前もだ!」
てか、最近思わず口に出して突っ込みを入れてしまう。
でも、あなたもじゃないか。
「親からも…全てから見放された君は可愛そうだよ」
いつ俺は見放されたのかな?ま、いいや。俺は俺だ!よく分からないけど。
「てか、蜻蛉さん。これからどうするの?」
勿論、鬼火ちゃんを探すのが第一優先事項だけど、下手に動くと危ないだろう。
「決まってるだろ?」
蜻蛉さんは、ポケットから何かを取り出した。
「夜食を食べよう」
勝手にしろよ、マジで。
もう俺たちの長所出しちゃってるじゃん。
その名も『凄まじき環境適応能力』!
「腹が減っては戦は出来ぬ、よく言ったものだよね」
「戦はないんじゃないの?」
「何を言ってるんだい? 僕たち人類の生活は常に戦みたいなものさ」
確かに! さすが蜻蛉さん。
「んじゃ、俺も頂きます」
と言って俺もショルダーバッグからサンドイッチを取り出した。
・・・・・・・・・・・・なぜサンドイッチがあるかって?
最初は遠足気分だったんです。
すみません。
「それはそうと、朧木くん・・・・・・・・・うぐっ!ゲホッ!」
そんな焦って食べなくてもいいよ、蜻蛉さん。
「大丈夫?」
「大丈夫。ただの恋煩いさ」
「誰にだよ」
俺にだったらちょっとキツイよ?
キツイどころじゃないな。
辛いよ?
気付いたら俺と蜻蛉さんは、見晴らしのいい草原のような所に立っていた。
後ろを振り返ると、一本の赤い橋が細い川を跨いでいた。
二人は無言を貫き、共に橋を渡った。
一歩一歩確かめるように。踏みしめるように。
そして天を仰ぐ。
――快晴
雲一つない快晴。
二人の感覚は丑三つ時なのにも関わらずだ。そして蜻蛉さんは結論を言った。
「――神隠し」
そう、俺と蜻蛉さんは神隠しに会った。希望通りに期待通りに。会いたくなくて、でも会いたかった現象。
「神に隠されたか、はたまた僕らが神を隠したのか」
そんな言葉遊びはいらないよ、蜻蛉さん。
「それはそうと朧木くん、僕たち現世では行方不明だね。この場合『現世』という呼び方が正しいのか分からないけどね」
縁起でもないこと言わないでよ、蜻蛉さん。
「大丈夫だよ、君はニートなんだからさ」
「お前もだ!」
てか、最近思わず口に出して突っ込みを入れてしまう。
でも、あなたもじゃないか。
「親からも…全てから見放された君は可愛そうだよ」
いつ俺は見放されたのかな?ま、いいや。俺は俺だ!よく分からないけど。
「てか、蜻蛉さん。これからどうするの?」
勿論、鬼火ちゃんを探すのが第一優先事項だけど、下手に動くと危ないだろう。
「決まってるだろ?」
蜻蛉さんは、ポケットから何かを取り出した。
「夜食を食べよう」
勝手にしろよ、マジで。
もう俺たちの長所出しちゃってるじゃん。
その名も『凄まじき環境適応能力』!
「腹が減っては戦は出来ぬ、よく言ったものだよね」
「戦はないんじゃないの?」
「何を言ってるんだい? 僕たち人類の生活は常に戦みたいなものさ」
確かに! さすが蜻蛉さん。
「んじゃ、俺も頂きます」
と言って俺もショルダーバッグからサンドイッチを取り出した。
・・・・・・・・・・・・なぜサンドイッチがあるかって?
最初は遠足気分だったんです。
すみません。
「それはそうと、朧木くん・・・・・・・・・うぐっ!ゲホッ!」
そんな焦って食べなくてもいいよ、蜻蛉さん。
「大丈夫?」
「大丈夫。ただの恋煩いさ」
「誰にだよ」
俺にだったらちょっとキツイよ?
キツイどころじゃないな。
辛いよ?
作品名:朧木君の非日常生活(5) 作家名:たし