桜のお話
空には雲ひとつありません。
台風一過のあの朝のように、青くて眩しい空でした。
思えば3人兄弟に、救われた命です。
あの時失くしたと思えば、悔いなんてありません。
でも小さなお家が壊されたのが、寂しいのです。
タンポポのあの円い姿が、もう見れないのが、悲しいのでした。
桜の枝は適当な長さにそろえられ、花屋さんの店先に並びました。
いろんな人に、買われていきました。
セレモニーの式場に飾られる枝もありました。
小さな旅館のあしらいとなった枝、酔っ払った人に買われていった枝、いろんなところで桜をさかせました。
それを少し誇らしいと、私は思っていたのです。
そう感じたのは根っこだったのかもしれませんが、眠くてもう分からないのでした。
「お話はおしまい、お休みね。」