町内会附浄化役
御幣島の神の言葉には容赦がない。斎月はお米をぐるっとかき回してきれいに整ったご飯を崩した。
「斎月、たけのこ食べる?」
いつみはそう言うと返事を待たずにぐちゃっとなったご飯の上にたけのこを乗せた。そして御幣島の神にするどい一瞥をくれる。
「もういいでしょう、この話は」
斎月はお箸をご飯に突き立てたまま、いつみの顔をぼーっと眺めていた。
「過ぎたことはもうどうしようもない。大事なのはこれからよ、斎月。伝えたい思いは伝えないと伝わらない」
「伝えたい思い……?」
「また元のような関係に戻れたらいいのに、と思うんなら、態度で示さなきゃ。私だって、斎月が浄化役になって神社に来た時、とても緊張したのよ」
うそっ。すごく普通に話しかけてくれた、あの時?
「さあ、斎月。ソフトクリームを食べに行きましょう。あ、御幣島の神、あなたはついてこなくていいから」
「なっ、なんでだよっ、俺は斎月に憑いてるんだぞ!」
「こなくていい、と言っているのよ」
いつきはそう言い放つと振り返りもせずにすたすたと歩き出した。