朧木君の非日常生活(3)
蜻蛉さん宅は、事務所と言っても資料で埋もれてるとか、パソコンが何台も置いてあるとか、そんな大それた部屋じゃない。
本棚に難しそうな分厚い本が何十冊か置いてある他は、ごく一般的な部屋だ。ちなみに部屋は二部屋あり、片方は鬼火ちゃんが利用している。
俺は、その二つのうち、蜻蛉さんの寝室の床に腰を下ろした。
「さっそくだけど、朧木くん、一つ聞いてもいいかい?」
蜻蛉さんは、不意に先程までと表情を一変し、感情を圧し殺した声で聞いてきた。
「何したの?」
俺は、蜻蛉さんのいつもと違う雰囲気に気づき、気持ちを落ち着かせた。
何を聞いても驚かない、そう心を落ち着かせた。
「小説の中なんだから、実際の犯罪にはならないよ」
お前誰だよ。
もはや誰だよ。言うなよ、そんな夢のないこと。子供にミッキーの中の人の存在を暴露してるようなもんだよ? 2chに書き込むよ? スレたてちゃうよ? 俺、チャネラーなんだらさ。
「あっ、そう言えば朧木くん、2chで思い出したんだけど、面白いのを見つけたんだ」
よし、スルーだ。
スルーしよう。なぜか読心術があるんだ。スルーしよう。
そして、おもむろに蜻蛉さんがwebを開きカタカタと馴れた手つきでパソコンのキーを叩いた。
「どうせくだらないんでしょ?」
「私も楽しかったよ」
鬼火ちゃんが言うなら期待しよう。だって俺の推しメンはこの子なんだから。
「これを見てよ」
蜻蛉さんと、場所を変わりパソコンの画面を覗き込んだ。そこには。
作品名:朧木君の非日常生活(3) 作家名:たし