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朧木君の非日常生活(3)

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朧木君の非日常生活   神隠し編 其ノ壱

なんで其ノ壱ってやると厨二臭くなんだろ。でもやっぱり厨二が一番カッコイイ
よな。ていうか、短編なのに其ノ壱っていいのかな? ていうか、短編ではないな。
なんてことを考えながら、俺は草木も眠る時間に人気のない道を歩いていた。
あ、申し遅れました。俺の名前は朧木真夜です。以後お見知りおきを。
そんなニート×イケメン(自称)な俺の目的地は『蜻蛉さんの都市伝説解決事務所』だ。
ごく平凡なアパートの102号室。
ここ最近の俺の日課と言えばこれだ。
夜中に蜻蛉さん家に行くこと。
何故夜中かって? そんなの簡単だよ。ニートだから昼夜逆転してるのさ。
ま、それはともかく目的地に着いたので俺はインターホンを押した。
すると3秒程度で扉が開いた。これも毎度お馴染みだ。
その開いた無機質な扉から、ひょこっと鬼火ちゃんが顔を覗かせた。
そして鬼火ちゃんは、俺と目が合うやいなやと表情を輝かせた。これも毎度お馴染み。決して嫌ではありませんよ?
「朧木くん、会いたかった」
「イエス! 君にー!」
「?」
ん? 完全なる振りだと思ったんだけどな。俺は人差し指を突きだしちゃったりして、ポーズまで決めちゃったのに。ま、いいか。
「おう。朧木くん、毎日律儀だね。感嘆だよ」
次いで蜻蛉さん。てか、毎日来いって行ったのはあなたですよ?
「朧木くんは一生ソロ活動だと思ったんだけどね」
それはアーティストとして? 人間として?
「さながら今の朧木くんは、朧木feat,鬼火ちゃんだね」
蜻蛉さんの醸し出すこの独特のリズムはいつものこと。これが蜻蛉さんの正常な状態。
と言っても俺自身、蜻蛉さんの取り乱した姿なんて見たことないのだけど。
しかし、featって何でかっこよく聞こえるんだ?
「朧木くん、中入って」
「うん」
対照的に鬼火ちゃんはカワイイ。このリズム感がカワイイ。
あっ、恋愛感情とかじゃないよ? 犯罪になっちゃうからね。残念だけど。落胆だよ。
俺は、鬼火ちゃんの誘いに従い、蜻蛉さん宅にお邪魔することにした。 

作品名:朧木君の非日常生活(3) 作家名:たし