ツインテール探偵くるみの密室
「歩美から背中が汚れてるって言われなかった?」
くるみが訊いた。
「言われた」
校舎の出入り口で歩美に拭いてもらったことを話した。
「その後、コートにテープが貼られてたり、糸がついていたりとかは?」
「事務所に戻ってから汚れた場所を確認したけど、なにもなかった」
くるみはホワイトボードになにか書きながら考えていた。
「同一人物だったら……そうか」
と、呟いていた。AYUMIの文字が薄っすらと残っていた。
「パズルの最後のピースが埋まったわ」
怪盗エースが誰か、わかったみたいだ。
「トリックを暴くために必要なものを探してくるね」
と言って、出て行った。
くるみが出てからしばらくして歩美がやって来た。
「傘を返しに来ました」
そう言って、栞さんにビニール傘を渡す。
「あれ、新品になってる」
栞さんが歩美を見る。
「なにか問題でも?」
「いいえ。わたしは得したもの」
くるみが事務所に駆け込んできた。手には釣り糸を持っている。
「いいところに来たわね。海東歩美」
作品名:ツインテール探偵くるみの密室 作家名:へぼろん