赤い瞳で(以下略) ep1-2
「書いてあったとおりだったろう?」
紅也は、俺の隣で低く言った。ああ、と俺は肯いた。肯かざるを、得なかった。
紅也がくれた、赤表紙の本。やはり、あれはそういうモノだったのか。だとしたら、……紅也には、これから起こることが分かっているのだろうか。分かっていて、俺にあえて教えないのか。教える必要もないことなのか。
……犯人も、分かっているのだろうか……。
「そうだ、雨夜君も連れて行くと良いよ」
――は?
俺は顔を上げた。ぼんやりしていたが、一応紅也とアラタ君の会話は俺の耳にも入っていた。だが、しかし。……何故俺なのか?
――紅也、お前何言って……。
「良いじゃないか、そのくらい。年下の子供の面倒を見るのは、高校生として当たり前だの……、って古いか」
今こいつ、絶対当たり前だのクラッカーとか言おうとしてたよな。……何世代だよ、お前は。
しかし、……俺抜きでどんどんと話が進んでいくな……。
「じゃあ、よろしくお願いします……」
おずおずと頭を下げるアラタ君。
――ああ、こちらこそ……。
額を押さえながら、俺はアラタ君の律儀な挨拶に、そう答えていた……。
作品名:赤い瞳で(以下略) ep1-2 作家名:tei