朧木君の非日常生活(2)
「民族学上の鬼で祖霊や地霊。山岳宗教系の鬼、山伏系の鬼、例、天狗。仏教系の鬼、邪鬼、夜叉、羅刹。人鬼系の鬼、盗賊や凶悪な無用者。怨恨や憤怒によって鬼に変身の変身譚系の鬼。「おに」の語は隠が転じたもので、元来は姿の見えないもの、この世ならざるものであることを意味した。こんなとこかな」
「すごいな、蜻蛉さん。良く知ってるね」
どうせwikiだろ? 出番まで暇だったんだろ?って言葉は口に出さずにおこう。
「要するに化物ってこと?」
「結局、端的に言うとそうなるかな」
その時、102号室の扉がそっと開いて、深紅の目をした女の子が顔を覗かせた。
「ま、俺は気にしないけど」
だってこんなカワイイ化物なんていないだろ?
「お風呂あがった。そして、着替えた。似合う?」
あ、やっぱり訂正させてくれ。
「鬼火ちゃん、凄い似合ってるよ」
この子は化物なんかじゃない。
「ありがとう」
だってこんなにも感情があって。
「嬉しい」
こんなにも純粋で。
「これからも一緒にいていい?」
こんなにも愛おしいんだ。
「うん、一緒にいようか」
だから、俺達、人間と何ら変わりない。
この子は化物なんかじゃない。
「朧木くん、蜻蛉さんはおいしいの?」
ちょっと変わってるけどね。
蜻蛉編 おわり
作品名:朧木君の非日常生活(2) 作家名:たし