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朧木君の非日常生活(2)

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すると押したと同時にガチャ!っと音をたて扉が開いた。そりゃもう、凄まじい勢いで。豪快に盛大に。
「おう。朧木くん。久し振り。タイトルが蜻蛉編なのになかなか登場出来なくて待ちくたびれたよ。尺を考えようよ」
この髪の毛のキューティクルが失われつつあるボサボサ頭で、目の下にクマがくっきりと浮かんだ青年が蜻蛉さんだ。
「尺なんて関係ない!適度にテキトーに! 適度に適当に! ・・・・・・とりあえず相談があるんだな、これが」 
「その血まみれの女の子かい?」
「正解!」
「どんな趣味嗜好をしてるんだい?」 
趣味 美少女アニメ 嗜好 ロリ属性です。すみません。
「まぁ訳あって…端的に言うとこの鬼火ちゃん、鬼らしいよ。なんかバッタリ出くわしたから、とりあえず蜻蛉さん家行こうぜ!的なノリで」
「鬼ねぇ・・・・・・人でもなく幽霊でもない何か。んで、さながらどうしようか悩んだ末ってとこか」
「蜻蛉さんは話が早い!」
『鬼』って単語に全く動じない!そして『鬼火ちゃん』に疑問を抱かない寛大さ!まさに適度なテキトー!動かざること山の如し、ですね!
「そうか・・・・・・君たちは出会ってしまったんだね」
そう。
――あの夏、僕らは出会った。
「いいからそんなキャッチコピーみたいなの作らなくて。しかもそれだと純愛ものだよ」
・・・・・・んなっ!?
・・・・・・いや、いいんだ。これぞ朧木クオリティー。これは分かる人は分かるよね?
「ていうか、何故心を読めるんだよ! 超能力者か!」
「超能力者? 違うよ・・・・・・そんな大それたものじゃない・・・・・・ただの人さ。なんの力も持たない人間だよ」
なんかカッケーよ、蜻蛉さん。
かっこ悪いけど、カッケーよ。
「それはそうと鬼火ちゃん・・・・・・だよね? とりあえず風呂入って着替えようか」
蜻蛉さんは、どこからともなく白いワンピースを取り出した。
「サイズは大丈夫だと思うよ」
「何で、あんたは女の子用のワンピース持ってるの?」
「趣味嗜好さ」
まぁいいや。着替え買う手間省けたからいいや! 何だっていいさ! 人それぞれ! 
十人十色!
「着替えた方いい?」
鬼火ちゃんが俺たち二人に問いただす。
「うん、鬼火ちゃん着替えておいて。風呂の入り方分かる?」
「うん、分かるよ。んじゃ行ってくる。……朧木くんも一緒に入る?」
え? 入っていいの? これって犯罪かな? 法律分かんないよ。
てか、鬼なのに何で風呂の入り方分かるんだろ。ま、いっか!話がさくさく進むし。
「朧木くん、揺らいでいる時点で君は犯罪者だよ。僕らは外で待ってようか。」
ですよね。人生そんなうまくいくわけないよね。
「分かってるよ、そんなこと。んじゃ鬼火ちゃん、風呂入っておいで」
「分かった」
鬼火ちゃんは、そう言い残してくてくと部屋の奥へと消えていった。ちなみに鬼火ちゃんの残り香は、シャンプーでもなく、香水でもなく血の臭いでした。チャンチャン。
「さ、朧木くん。これからのことを相談しようじゃないか」
蜻蛉さんが、ふいに声を真面目なトーンに落とした。俺も、気持ちを冷静に落ち着かせ、次の言葉を待った。

作品名:朧木君の非日常生活(2) 作家名:たし