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ぐるぐる廻る、僕らと僕と・・・。

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ちょうど喉に入る前に刺さっていた。
僕は、慎重にその骨を抜き取り、それを皿の上に置く。
「ごちそうさまでしたっ!。」
紅葉はどうやら、今ので食べる気を無くしてしまったようだ。
心の中でも謝っておこう。ごめん。
「ははっ、こーくんは毎日大変だねぇ。」
かつくんは僕らの様子を笑っている。
それよりも紅葉に箸でさされた所、意外に痛いぞ。
「うるさい。骨をうまくとれなかったコウが悪いのよ。」
「ははははっ、こーくんは大変だなぁ。」
「笑うなっ。」
「ははははははははっ。」
「いいから黙れっ!。」
ついに紅葉は箸をかつくんに投げつけた。
しかも結構全力投球。
良い子は真似しちゃ駄目だよ。
そしてその箸を横から受け止めるみみさん。
「こらっ、食器を投げちゃ駄目でしょナギ。」
そんな紅葉を無表情に窘めるみみさん。
「ふん。」
そっぽをむく紅葉。
「それからももも。」
おぉー。
何かももちゃん名前が増えたような呼び方だ。
「箸を克陽に投げようとしない。」
「はぁーい。」
そう言って箸を降ろすももちゃん。
まぁももちゃんが投げても十中八九あたらないだろうけど。
むしろどこに飛んでいくのかが不安だ。
かつくんなら当たっても大丈夫だろうけど、まさか横にいる僕に・・・・・。
まぁ、過ぎたことだしどうでもいいか。
それからは僕らは食器を片付け、それぞれに学校にいく準備をして、いつも通りの時間に家から出る。
「うーん・・・・・・・・・・、引っ張ったら抜けたりしないかな?。」
おっと。
心の声がリアルに出ちまったぜ。
反省反省。
「どうでもいいけど。」
「うぬ?。」
僕の独り言に反応して前を歩いていたももちゃんが振り返る。
またやってしまった。
さらに反省反省。
でも癖になっちゃてるし、反正するのも面倒だからきっとまたやるだろうな。
しょうがないさ。
「いやいや、何でもないよももちゃん。」
僕は振り返ったももちゃんに、手も振って返す。
「?、そかー。」
ももちゃんはそう呟くと、また前をむき直して、隣を歩く紅葉と再び話し始めた。
その髪型は今朝から変化しており、肩よりも少し長い髪の毛を両方の耳の上くらいの高さまで持っていって縛っている。
いわゆるツインテールというやつだ。
さっきは思わず引っ張って抜けないか試したくなる衝動にかられたが、ももちゃんの髪型は今朝のようなストレートよりも圧倒的にこのツインテールのほうがよく見るし、僕も見慣れてる。
服装も卵柄のパジャマから一転(というぼど変化している)して、お上品な感じのデザインの制服を着ている。
それに、この寒さでよく履けるなと思ってしまうようなミニスカート。
僕は女性が真冬にもこういう格好していて、それに対してオシャレ頑張ってるなとか思えるような人間じゃないし、むしろこんなに寒くてよくやるなが正解だ。
だけど。
だからといって。
そんな僕にも、やはり好みくらいはある。
ももちゃんのローファーから中から伸びる物。
膝より上まである紺色の靴下。
その名称。
略してニーハイ。
略さないとニーハイソックス(たぶん)。
そしてミニスカートとニーハイの間に存在する絶対領域。
ぜったい、りょういき。
「うん。」
大変よろしいことこの上ない。
ももちゃんの足は細くてスラッとしてるから、ものすごくそれが似合ってる。
僕の好みに早撃ちガンマンだ、わけが分からないけど。
とにかく筆舌尽くしがたいとはこのことだ。
なんだか昔の人が作った言葉を使うには失礼な例え方ながするけど。
僕にはそんなこと、関係ないし。
ニーハイ万歳。
「ニーハイがどうかしたんか?。」
隣にいるかつくんが、僕に話しかけてきた。
どうやらまた口走ってしまったらしい。
もうあきらめようかなぁ。
「いや、僕の好み話し。」
「あー。」
と言ってかつくんは苦笑する。
かつくんは、僕とは違って詰め襟のどこにでも見るような黒い制服を着て、前のボタンを3つほど開けている。
それに身長が高くて肩幅のあるかつくんは、なかなかその制服が似合っている。
僕、あんまり身長高くないんだよな。低いわけじゃないんだけど。
例えば5センチくらい誰かにあげても、かつくんはまだまだ180以上は普通にあるし。
僕はその5センチを貰っても、180には届かない。
別にいいんだけど。
「確かにおまえの好みは少しマニアックだからな。」
「マニアック?。」
それはどうだろう?。
素直に頷きがたい。
「だってそうだろ。」
「どこが?。」
僕がそう聞くと、かつくんは指を折りつつ言っていく。
「まず割とソフトなのが、レオタードの水着とか和服とかニーソックスとか。」
「ニーソックスとスカートと絶対領域合わせてだけどね。和服は別に着物だけじゃなくて巫女服とかもいいね」
「ああ、そうだったな。」
なぜそこで苦笑いをする、かつくん。
「で、ハードなとこというか、細かいとこが、和服を着て髪の毛を上げてる時のうなじとか。」
そうそう、あの思わず指でなぞりたくなる感じとか。
「レオタードの水着なのに妙にセクシーなやつ、背中開いてるのとか。」
うんうん、あの健全さとエロさの合体ってやつとか。
「妙にミニスカの婦警さんとか看護婦とか、網タイツでハイヒール履いた人とか、キャリアウーマン風の眼鏡のお姉さんとか。白衣を着た保健室の先生風の人とか。」
いやいや、ちょっとまてコラ。
「それはかつくんの好みでしょ。」
僕はそんなコスプレ紛いな格好には決して惹かれない。
自然体だからこその良さが好きなのさ。
「ははっ、でも俺の好みのほうが王道だろ。おまえの好みなんて100人聞いて1人2人くらいいれば上等じゃん。」
「うん。まぁ、そうかもね。」
僕はそれに、素直に頷く。
実際、本音を言えば自分でも自覚してる事だし。
そんなことをいちいち否定する必要も、意味も、僕にはない。
どっちにしても、僕にとっては。
「どうでもいいことだし。」
「はははっ!。」
僕のその答えに、かつくんは屈託なく笑う。
確かに僕が自分の好みなんてものを語っても、まったく意味はないし。
僕に好みなんて、意味はない。
かつくんの笑いも、よく分かる。
「何を笑ってるの?。」
みみさんが、横から話に入ってきた。
「いやいや、少しな。」
「うん。」
「?。」
僕らの答えに、みみさんは顔をしかめた。
男の同士の話をしていたのだよ、なんて言えないし言わない。
みみさんは、この中のいる女性の中で唯一の青っぽいセーラー服の上に、黒のカーディガンを着ている。
やっぱりこの中では一番大人っぽい雰囲気だ。背伸びをしているわけじゃなく、純粋に。
精神的にも、たぶんね。
「みみさんはどんな人が好みなの?。」
僕は何となくみみさんに聞いてみる。
その答えによって今後の僕の行動が、変わりはしないが。
多少の意識ぐらいはするかもしれない。
冗談だけどね。
「好み?、・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
みみさんは首を傾げて考える仕草をする。
そこはやはり大人の女性というか、ももちゃんとは違ってかわいさや間抜けさよりも、ずっと知的な雰囲気が伝わってくる。