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ぐるぐる廻る、僕らと僕と・・・。

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「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
無言で見つめ合う僕らとナレーション。
「・・・・・・・・・・・・」
そして紅葉は、ゆっくり顔を前に向ける。
それから少し大股で、どんどん前に進み出した。
「紅葉?」
「早く来い愚図」
振り返らず、どんどん進みながら、紅葉は僕を罵倒する。
だから僕も、追いつけるように、少し大股で、歩くことにした。
きっとすぐに追いつけるだろうけど。
出来るだけ、急いで。
期待に添えることにしようと、勝手に僕は思った。







<16章=とるる>






帰ってから、2回ほど、電話を使った。
初めは、かけたほうで、次は、かかってきた。
まず、かけたほうの会話。
「もっしもーし。僕ですけど」
「はいはーい。今ぼくぼく詐欺の対策本部に変わりますね」
「ちょっと聞きたいことがいくつかあるんすけど」
「それじゃあ署の方で聞くから今すぐ来てもらえます?」
「すみません僕方向オンチなんで」
「ちなみに毎度言うけどカツ丼は出ないからね」
「ちょっと急ぎなんで、言いますね」
「あ、少し待っててね。今すぐ令状取り付けるから」
「もう知ってますよね。僕の通ってる学校で起こった事件。あれの資料の内容全部教えて欲しいんですけど」
「いいけどさ、今度みみさんとデートさせて」
「かつくんを倒せたらいいですよ」
「・・・・・・また今度にさしてもらうよ」
「まあまあそう言わずに」
「いや、マジで遠慮しとく」
「そうですか。あ、ももちゃんなんてどうでしょう?」
「あの子は君にぞっこんラブだろ」
「どうですかねぇ」
「それに確かにかわいいけどまだまだ守備範囲外だ、色んな意味で」
「そうですか。それじゃあ月の無い夜にでもももちゃんに伝えておきますね」
「それで、君は何が聞きたいんだっけ?」
「この度僕の学校で起きた事件について、あるだけの資料全部教えてください」
「資料?」
「僕らの名前が入ってる情報があれば取りあえず全部あなたにいってるでしょ」
「ああ?。・・・・・・おっ、来てた来てた。えっと・・・・・・・・・・・・・・・・・・あれぇ?・・・・・・・・・・・・おっ、あったあった」
「随分ガサゴソ聞こえましたけど、もうちょっと掃除してくださいね。で、大丈夫ですか?」
「ああ、オッケーオッケー」
「じゃあまず、今日おきた方について」
「へーい。被害者は高桐真梨子17才の女子生徒、うわっ、俺けっこう好みかも、もったいね。」
「それで?」
「えー、死因は後頭部を何か鈍器のような物で殴られたせいだな。しかも入念に何度も殴られた痕跡もあるらしい」
「殴る方も大変だったでしょうねぇ。それで、凶器は?」
「まだ見つかっていない」
「死亡推定時刻は?」
「だいたい今日の3時半頃から4時少し過ぎぐらいまで。それからっと・・・・・・・・・・・・んー?」
「どうしました?」
「容疑者リスト的なのも一様上がってんだけどな」
「はい」
「今んとこその筆頭が、そっちのお姫さまらしいぞ」
「・・・・・・ほほー」
「いや、証言の中にな。ゴミを捨てに行ったら中庭で誰かと誰かが言い争ってる声が聞こえて、少しして聞こえなくなったから覗いてみたらなんと人が死んでて、その死体をお姫さまが見下ろしてたということらしい」
「うむ。怖いねぇ女の子は」
「そうだなぁ、あのヒステリックさはどうにかなんねえのかなって思うよまったく」
「そうですかねぇ。ちなみにその証言をしたのは誰ですか?」
「ん?、・・・・・・茉矢木、武将、って男子生徒だな。」
「うむ、なるほどなるほど」
「知り合いか?」
「さぁ?、僕って知人が少ないですから」
「ふーん。で、他には?」
「そっちはもういいです、それじゃあ昨日あったほうを。」
「へいへい。被害者は千種一哉17才の男子生徒。死亡推定時刻は、3時半から4時半過ぎぐらいの間。死因はー、んぅ?・・・・・・」
「どうしました?」
「いや、何か新しく分かったことがあったらしくてな」
「はい」
「それのおかげで君まで重要参考人的ないわゆる容疑者みたいな扱いになってんぞ」
「それはそれは。で、なんと?」
「初め、死因は屋上からの飛び降りた時に強く頭をぶつけたせいだと思われたんだけどな。つまりは自殺だと」
「ふむ」
「ついさっきさらに詳しく検死したところ、また新しい事実が浮かび上がってきたと」
「ほー」
「どうやら被害者はな。飛び降りる前にすでに死んでいたらしい」
「つまりはゾンビとなって歩いていって自分で落ちたと」
「ゾンビねぇ」
「ゾンビですなぁ」
「そんなオチだったらおもしろかったんだけどな」
「うむ、確かに」
「実際は、もっと現実的で悪質だ」
「ふむふむ」
「被害者の本当の死因は鈍器による打撃を頭部に受けたため」
「つまりそうして殺した後に屋上から突き落としたと」
「そういうことだな」
「そういうこですねぇ」
「なんでそんなことをしたのかは今のところまったく不明だ」
「不明ですかぁ、残念」
「・・・・・・・・・・・・てかさ、君ね」
「なんですか?」
「なんか、全部予想通りって感じの喋り方なんだけどそこんとこどうよ」
「まっさかー、って感じですよ。そこまで僕は有能じゃありません」
「そっかそっか。他に聞きたいことは?」
「そっちの凶器については?」
「まだ発見されてないな。というかさっき分かったばかりの情報だから、当たり前だけど。たぶん明日辺りにまた調査に来ると思うぞ」
「そっすか。それじゃあもう特になにもないんで、はい。それじゃあさよなら閨さん」
「はいはい、またな嘘つきくん」
「何のことですか?」
「何でもねえよ、切るぞ」
「はーい」
がちゃり、という感じ。
んで、かかってきた方の会話。
「はーい、もしもし?」
「こんばんわ。わたくしですが」
「こんばんわ。どうしました?、スポンサーさん」
「別に。ただ久しぶりに君の声を聞きたくなっただけだよ」
「ご要望があればお好きな声をお出ししますよ」
「ではキャッツの声を」
「・・・・・・・・・・・・」
「どうしたの?」
「いえ、ちょっと・・・・・・にゃー・・・・・・・・・・・・」
「くくっ。私が可愛がってあげましょうか?」
「すみません。僕、猫の声アレルギーなんで、ゴホッゴホッ」
「あら、初耳ね」
「そうですか?、割と有名ですよ」
「そうなの?」
「ええ、今考えましたけど」
「そうなの」
「そうなんですよ」
「・・・・・・・・・・・・くくっ。相変わらず君と話してるとまるで空気を相手にしてような感じね」
「どうも。それで、今日は何のご用ですか?」
「ちょっとね。おもしろいことを小耳に挟んだものだから」
「はあ」
「またおもしろいことを巻き起こしてるようじゃない」
「そんなことありませんよ。どちらかといえば巻き込まれてる方ですよ僕達は」
「そう?」
「そうですよ」
「くくっ。そうね。君は常に、台風の目にいるのだから」
「僕はいつも第3者ですよ。そんな中心にいません」
「いいえ。あなたはいつも中心にいる。そして中心にいながら安全圏にいる」
「そんなこともないですよ。いっつも命がけです」
「今回は何を触発したのかしらね」