小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

ぐるぐる廻る、僕らと僕と・・・。

INDEX|25ページ/37ページ|

次のページ前のページ
 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
紅葉は何も、答えない。
だけど、僕は、言う。
「                              。」







<15章=いつもどおーり>





警察が来て、僕らは一旦連れて行かれた。
僕らというのは、僕と、紅葉と、茉矢木くんだ。
連れて行かれたといっても、僕ら自体が未成年だしそれ以前に学生なので、警察署ではなく、この前僕が警察の人と話した来客用の応接室だ。
それも、3人同時ではなく、1人ずつ。
順番は、茉矢木くん、次が僕で、最後に紅葉だ。
それで丁度今、茉矢木くんが話を終えて出てきた。少し俯き気味で、応接室の前に椅子を置いて座っている僕らを見てはいない。
「次はきみだ」
僕らを囲むように立っていた警察の1人が、僕に言う。
僕はそれに頷き立ち上がり、それと入れ替わるように隣の席に茉矢木くんが座る。
ちなみにその反対側には紅葉が座っている。
僕がいない間に浮気すんなよ釘を刺しておこうかと思ったけど、それ以前に僕と紅葉はそう言う関係でもないので、もとから心配する必要もないことなんだけど。
「・・・・・・・・・・・・」
紅葉は僕と目があったけど、何も言わない。
だから僕も、今は特に言うこともなかったので、そのまま応接室の中に入っていった。
「やあ、また君ですか」
と、親しみを込めた振りをした口調で、挨拶をされた。
特に誰と言うこともなく、この前僕が話した刑事のえーと・・・・・唐木さんだったかな?。それと阿東さんも一緒に座っている。こちら前と変わらず寡黙に腕なんて組みながら僕を見ている。
とりあえず僕も親しみを込めて挨拶を返すことにした。
「ええ、またあなた方ですか」
「そうですよ。毎度毎度すみませんねえ」
「いえいえ、すごく待ち遠しかったですよ」
と言いつつ僕は相手の合図も待たずに椅子に座った。
ふむ、相変わらず座り心地はまあまあか。精進しろよ。と僕は心で椅子に騙りかけてみた。
「そうですねえ、今回お亡くなりになられたのはもう誰かご存じですか?」
「いいえ」
何ぶん人見知りが激しいものでしてぇ。
おかげで両手に収まっちゃうんですよぉ。理由だけ虚偽ってるけど。
「そうですか。この度の被害者は女性でしてね、またまたあなたのお隣のクラスの生徒で、名前を高桐真梨子というんですが、ご存じありませんかねえ?」
「うーん」
ありすぎちゃって困ってるんですけどぉ。
確か僕のことをさんざん公僕のお世話になれと進めたあげく器物損害にはしろうとしていたような気がする。むしろおまえがお世話になれと言いたかったなぁ。
「どうですかあ?」
唐木さんはまた表面をなぞるように質疑をかけてくる。
まっ、あれだけ騒いだからな、ちょっと聞き込みすればすぐに分かることだし。
「ちょっと小耳にはさんだことがある気がします」
「そうですか。僕が耳にした話しだと、昨日あなたが彼女とまた言い合ってたということなのですが。そこのところどうなんですかねえ?」
「ああ、そういえばそうですね」
「思い出しましたか?」
「はい。すみません、最近物忘れがひどくて」
実際、3日もしたら忘れちゃうだろうし。昨日のことだけど。
どうでもいいからね。
「それでは聞きますが、その時高桐さんが言っていたことを何か覚えていませんか?」
「あんまり覚えていないですね。すごく興奮してて、何を言っているのかあんまりわからなかったですし」
「ほう、そうですかそうですか」
唐木さんは頷きながら取り出していた手帳に書き込んでいく。
「まあその話の内容ついては彼女と同じクラスの生徒からある程度聞いてますので、災難だったですねえ」
と、まったく思ってなさそうな顔で言う唐木さん。
だから僕も「まったくですねぇ」と、簡単に同意しておいた。
それから唐木さんの話は事件の確認に移り、数点の確認をした後、僕は解放されることになった。
どうやら、今回の死因も頭部を大きな衝撃が襲ったことが原因であるそうで、後頭部の上あたりを何か、鈍器のようなモノで殴られた結果らしい。
でも前回と違うところは、今回は僕に対して深い追求もなく、それ以前に僕にはアリバイ的なものあるだろうからあるはずもなく、最後にこう聞かれて終わった。
「君は、どうして死体のそばに寄っていったんです?」
「僕が寄っていったのはそこにいた知人のほうですよ」
「あ、そうだったんですか。お友達ですか?」
「そんなところです」
それだけの会話を交わして、僕は応接室から外に出る。
僕が外に出ると、入れ替わるように紅葉が立たされた。
「ああ、そうそう」
唐木さんは応接室の中から顔だけを出して僕らに言う。
「君らはもう帰っていただいて結構ですよ。お疲れ様でした。さ、お次の方、どうぞお入りください」
「・・・・・・・・・・・・」
紅葉は、応接室に向かっていく。
そこですれ違いざまに、俺に内緒で浮気をしてたんじゃないだろうなぁと問いつめようと思ったけど、殴られそうなのでやめておいた。
「一緒にいようか?」
「いらない。」
「うん。それじゃ、校門で待ってるから」
そう言って僕が行こうとすると、紅葉に声をかけられた。
「コウ」
「ん?。なに?、紅葉」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・なんでもない」
紅葉は僕の言葉にそう返し、応接室の中に入っていく。
それを見送って僕が下駄箱の方に向かおうとすると、隣に茉矢木くんが並んで歩いてきたので俺の女に手をだしやがってと襲いかかろうかと錯乱しかけたふりしてみた。
冗談だよ。
「なあ」
歩きながら、茉矢木くんが話しかけてきた。
「こうくんってさ、その・・・・・・薙さんと、どういう関係なん?」
「魚の骨でつつきあうような関係」
ただし方向性は一方だけだぞ。
「えっと、仲が良いってことでいいのか?」
「少なくとも悪くはないと思ってるよ。僕はね」
僕は茉矢木くんが紅葉を寝取る可能性があることを危惧したりもせずに、というか彼はありえないだろうけど、彼の顔をのぞき込む。
「茉矢木くん」
「なに?」
「警察の人に、なんて話したの?」
僕がそう聞くと、茉矢木くんは目線だけを、僕からはずした。
そして、重そうな口を、ゆっくり開く。
「・・・・・・・こうくん、その・・・・・じっと見つめるのやめてくれない?」
「なんで?」
「こうくん、顔がかわいいから、照れる・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
僕は男なんですが。
しかもものほんの男から言われると、ももちゃんとかに言われるよりもずっと心に響くなぁ、本当に。
あぁ、切ない。どうでもいいけど。
僕は言われたとおり真っ直ぐ進行方向に視線を向ける。
「で、なんて言ったの?」
予想は、たってるけど。
「い、いや。なんで、あそこいたのかってまず聞かれて」
「うんうん」
「美術室のゴミを捨てに行ったら、中庭に誰かいて、それで覗いてみたら、・・・・・・」
と、そこで言葉が止まる茉矢木くん。
もしかするとあんまり大きな叫び声をあげてしまった自分を今更ながら後悔しているのかもしれない。
よし、慰めないでおこうと僕は思った。
冗談だけど。
「そこに女生徒2人がいたと。片方はご臨終だったけど」