ツインテール探偵くるみの事件簿
漫画同好会の部室に入ると、エアコンの前でくるみが涼んでいた。
栞さんがクリーム色のカーテンを見せて、
「望月さんの所にもどう?」
と、訊いた。漫画同好会にも同じカーテンがあった。
「大切なものがある部屋はカーテンした方がいいでしょ」
「ありがとう。ちょうど欲しかった」
「いいなあ、もうないの?」
「見られて困る物あるの?」
くるみが腕を組んで考えていた。探偵事務所には見られても、盗まれても困るような物はない。
「お待ちどうさま」
美咲がジュースや菓子を詰め込んだ袋をさげて戻って来た。
お菓子を囲んで談笑していると、望月さんの部室のトラップの話になった。
「窓には仕掛けてないんですか?」
望月さんに冗談っぽく訊いた。
「魔法をかける」
「魔法?」
「不幸になる魔法」
うっすらと笑っていた。こんなことを信じるのは美咲と桃果、後ずさりしているくるみくらいだ。
「涼しい部屋で宿題やりたいなあ」
くるみがおねだりするような甘えた声で栞さんに言った。
「宿題するなら来ていいわよ」
「やったあ」
と、ここまでが昨日のお話。
作品名:ツインテール探偵くるみの事件簿 作家名:へぼろん