ツインテール探偵くるみの事件簿
「飽きた」
浮き輪の上でくるみが言った。
「人間は地上で生きる生物なのよ」
「10分も練習してないだろ」
「いいから。ワトちゃん、ゴー!」
「ったく」
後ろから浮き輪を押してやった。
「楽チン楽チン。」
しばらくして、くるみが振り返った。
「なんだよ」
「べつに、結構混んでるね」
「夏休みだからな」
なにか言いたそうな顔だった。
またしばらくして、誰かが後ろから押さえつけて来た。栞さんだ。体が水中に沈む。密着してちょっと嬉しい。顔を出すと、くるみがにらんでいた。
「なんだよ?」
「あのね、ワトちゃん。わたしが可愛いからって」
「は?」
「もう、いい」
プイッと前を向いてしまった。
それから少しして、突然くるみが俺の左ほほを叩いた。
作品名:ツインテール探偵くるみの事件簿 作家名:へぼろん