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ツインテール探偵くるみの事件簿

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 三人で栞さんのパンプキンパイを食べていると、
「一句ひらめいた」
 と、倉田先輩が言った。両腕を組んで目をつむり、ひと言。

 『本日は カボチャパンツを はいてます』

「はぁぁ。すばらしい」
 能登が深いため息をついた。
「わかるか?」
「ええ、わかります」
 まったく、わからない。

「透、この句のすばらしさがわからないのか?」
 驚いた顔で能登が訊いた。
「悪いが、教えてくれないか」
「カボチャパンツからなにを妄想できる?」
「やっぱりメイドさんかな」
「そうだ。もう一度この句を詠んでみろ」
「本日はカボチャパンツをはいてます」
「どこにもメイドさんが入ってないだろ。だけどメイドさんを思い起こさせる句なんだ」
 そこがすばらしいのだと、能登が力説した。
「この句がメイド喫茶に貼ってあったらどうする?」
「さあ」
「絶対入りたくなるだろ。客は倍増するぞ」
「そうなのか」
「そうですよね、倉田先輩」

「残念だけど、もう一歩だ。能登」
「ええ、どこが足りなかったんですか?」
「メイドさんはいつもカボチャパンツをはいている」
「ああ、そっか」
「カボチャで思いつくものがまだあるだろ」
 能登が腕を組んでうなっていた。
「透はどうだ?」
 倉田先輩が俺に訊いた。
「そうですね、カボチャで連想するのはシンデレラかな」
「その通りだ」
 えええ!?

「どういうことですか?」
 能登が訊いた。
「王子さまがガラスの靴に合ったシンデレラを見つけたとき、こう訊くんだ」

『今日はカボチャの馬車はどうしたんですか?』

「ああ、そっか。やられたぁ」
 と、能登が頭をかきむしっていた。
「な、なんだよ」
「透、まだわからないのか。王子さまの質問に対するシンデレラの答えが、」

『本日はカボチャパンツをはいてます』

「この切り替えし、最高だろ。あぁぁ、倉田先輩すごすぎます」
「これが妄想というものだ。うちに入るか?」
「いえ、結構です」
 そう言って、俺は早々に退散した。