ツインテール探偵くるみの事件簿
教科書が校庭にあったことを歩美に伝えた。
「そんなことあるんですかね」
確かに漫画のようにオーバーにばら撒かれた訳ではない。窓の外まで飛ぶとは考えにくい。
「さっきは、どうもありがとう」
と、階段のことを歩美が言った。
「あいつ、おっちょこちょいだから気をつけないと」
くるみを見ると、国語の教科書を頭の上よりも高く積んでいた。
「またそんなに持って行くのか?」
「ほっといて」
フラフラと歩き出した。
「階段でころんだりしないかしら」
ほっとくわけにもいかず、俺たちも教科書を抱え、ついて行った。
俺と歩美は階段の手前で止まった。
「今、見ましたか?」
と、歩美が訊いた。
「見た」
くるみが階段を登る寸前、頭を越える2冊の教科書がするりと落ちてコートのフードへ入ったのだ。
「なんであいつは気が付かないんだ?」
「さあ、全体の重さが変わらないからじゃないでしょうか」
本当か?
さっきと同じ階段の踊り場で、くるみは立ち止まり、
「暑い、やっぱり脱ぐ」
と言って、白いコートを窓枠に掛けた。
窓から外を見ると、教科書が2冊落ちていた。教科書を抱え上げると、くるみが不思議そうな顔をした。全体の重さが変わったので気が付いたのだろう。そして、俺たちにこう訊いたのだ。
「明日、国語の授業ある?」
作品名:ツインテール探偵くるみの事件簿 作家名:へぼろん