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ツインテール探偵くるみの事件簿

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「あっ、くるみが逃げた」
「私は逃げたりしないわよ」
「ウサギの方だよ」
 いつの間にか飼育小屋の扉が開いていた。

「ちゃんと鍵を掛けてないとだめなのよ」
 歩美がウサギを抱きながら言った。扉を押して逃げるらしい。
「周りをハラハラさせるところもくるみと似てるな」
「そんなことしてないもん」
「でも、悪気があってやってるわけじゃないのよね、くるみちゃんは」
 栞さんがウサギのくるみをなでた。
「この子と同じって言いたいんですか?」

 飼育小屋にウサギを戻してから、
「私の挑戦を受けるみたいなこと言ったわよね」
 と、歩美が訊いた。
「ええ。いつでも相手になってあげる」
「だったら賭けをしない?」
「賭け?」
「この先、何度かあなたに挑戦するわ」
「それを解決すればいいのね。それで何を賭けるの?」
「負けた方が渡辺くんを諦める」
「別にいいけど、なんで渡辺先輩なの?」
「証人になっていただけますね」
 くるみを無視して栞さんに言った。
「いいけど、私はくるみの味方よ」
「構いません、それじゃ」
 校門に向かおうとした足が止まった。歩美が俺の所に駆け寄り、頬に軽くキスした。
「これでスタートラインは一緒よ」
 くるみに微笑んでから、駆けて行った。
「ちょっと、ワトちゃん。どういうことよ」

 こうして新たな波乱を予感させながら『うさぎちゃん失踪事件』の幕は降りたのだった。