ツインテール探偵くるみの事件簿
リビングでお茶を飲みながらくるみのお母さんの昔話になった。
「どんな子供だったんですか?」
栞さんが訊いた。
「そうねえ、普通の女の子だったわよ」
くるみも回顧するときはそう言うんだろうな。
「ワトちゃんくんだったけ」
いったいどうやったらそう伝わるんだ。
「どこかで見たことあるんだけど」
気のせいでしょう。
「そうそう、昔、探偵ごっこして仲がよかった子たちがいたのよ」
もちろん、探偵役はお母さんだ。
「その時の助手の男の子によく似ている。たしか渡辺くんだったかな」
今のは聞かなかったことにしよう。
「怪盗役の女の子とどっちの助手になるかで取り合いになったのよね」
くるみと栞さんが俺をめぐって争っている光景を想像した。
「絶対無いから安心して」
と、栞さんが笑顔で言った。
「それでどっちが助手をゲットしたの?」
くるみが訊いた。
「はっきりしないからわたしも彼女も愛想をつかせちゃったのよ」
嬉しそうに栞さんが笑っていた。
くるみはどうかわからないが、俺に好意を寄せている女の子など他にいるわけがない。余計な心配だ。
と、思っていた。
作品名:ツインテール探偵くるみの事件簿 作家名:へぼろん