ツインテール探偵くるみの事件簿
「こういうことじゃないかしら」
栞さんが俺に持たせたホワイトボードに書いたのは、四人全員がふたまたしているという関係図だった。
栞さんの話はこうだった。
くるみの作戦で、彼に栞さんという彼女がいることを知って、
「かなわないなって思ったんです」
その気持ちは男ながらも分かる気がする。
そのことを俺に相談しようと探していたら、自販機の前で栞さんが俺に迫っている場面を見たのだ。
「わたしが彼とワトくんをふたまたしてると思ったのね」
里穂が頷いた。
「くるみを誘い出すためにやってたの。それ以外ありえないから」
そこまで否定しなくてもいいでしょ。
そして、里穂が慌ててその場を離れた後に、くるみがやって来た。
里穂と彼は友達以上恋人未満の関係だった。
彼に栞さんという素敵な彼女がいた。ショックではあったが、彼が幸せならそれでいいと思った。だが、栞さんがふたまたしていると勘違いした。彼に教えれば傷つくと思い、どうしようかと考えたのだ。その結果、
「わたしの前でワトくんといちゃついたのね」
栞さんが言うと、里穂が頷いた。そうすれば栞さんが俺に愛想をつかせ、彼とだけ付き合ってくれると思ったのだ。
栞さんがいる所にはくるみがいる。正確には、くるみのいる所に栞さんがいるのだ。
作品名:ツインテール探偵くるみの事件簿 作家名:へぼろん