【完】恋愛症候群【過去作】
番外編・俺の名前
「そして、俺の親友の一人がお前の名付け親になったんだぞ」
小さい頃に何回も親父から聞かされた話。何回も出てくる『ちとせ』や『しゅう』それに俺の名付け親『たかし』
楽しそうに話す親父をみて、学校が楽しみだった事を覚えている。
でもその話の後に必ず決まり文句のように付け足す『女心と秋の空』
好きになった女は、何があっても試しちゃいけない。そう言って、寂しげに笑う親父は、多分まだ心の中で未練があるんだろうな、って子供ながらに感じていた。
「翼、」
あの女性(ヒト)が俺を呼ぶ。
親父の親友につけられた、俺の名前を。
そこに深い意味は無いけれど、今はただそれが嬉しくて。
「なんですか?先輩」
いつか彼女の一番大切な人になりたい。と
そう、思った。
作品名:【完】恋愛症候群【過去作】 作家名:木白