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浜口 早苗
浜口 早苗
novelistID. 15458
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田舎暮らしのさなえってぃ

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Vol.11



菜園も開拓され冬に備えての準備も始まった、秋のある日、ダーリンが大作に枠をつけていた。これが、かなり大きくって畳6畳分くらいある。だから額をつけるのも一苦労、のようだった。そして、つけた後も何故かそのまま寝かせてあるから…、最初は茶室がアトリエにできたのかと思った。(それくらい、厚みもある)

さて、ここで困ったことがおきた。モンちゃんとブリリンはアトリエに暫くいられなくなったのだ。当然大ちゃんも。彼らにとって見れば「なぜ?」となる。そんなこと分かってるでしょ、ダーリン!

あの絵はとても重たそうなのだ。何枚か繋ぎ合わせた板の上に書かれているようなのだ。モンちゃんブリリン、大地は閉め出されて騒いでいるし。ブリリンなんか、もうどこへ行ったか分からない。(外はもう寒いので、多分外には行っていない)

仕方がないのであの重たそうな大作を立てかけよう!と提案してみた。当然2人しかいないので2人で立てかけることになる。こういう場合に備えてヘルメットを出してきてみた。(防災用です)万が一倒れてきた場合のために。しかし、立てかけるにも壁際まで移動するのが大変そうだ。こうなると、命がけだなと思った。しかも大事な大作なのだから、傷はつけられない。モンちゃんや大地の足跡だってつけられないのだから、それは当然だ。ブリリンに足跡があるかというと、波打っているあとがつくのだ。猫の足型とモンちゃんの偶蹄の足跡にブリリンの波型が付いた日にはダーリンは熱を出して、寝室に篭城をしかねないし…。(我が家に寝室はひとつです) そこで篭城を図られた場合には寝袋で寝るしかないのです(涙)。


動かす前に2人で移動のシミュレーションをしてみる。無駄に動いても疲れるだけだからね。以前同様の絵を運んでくれようとした人は、腕の関節が抜けてそれ以降癖になり、手術までしている。それほど重いのです。

立てかける壁までの距離と、そこまで空中を浮かせては運べないので、それをどうするか。検討に検討を重ねる。やはり一度起こして、下に毛布などの布を入れ、それを引っ張るのが一番危なくなく、楽だということに。そして今度はどちらがどちらのパートを受け持つか、の検討をする。きちっと垂直を保っていれば問題は無いけれど、バランスを崩すと歯止めが利かなく、きっと倒れるから、私が下の布を引っ張って、ダーリンが絵を支えるということで合意。(ダーリン、バランス崩さないようにネ。でも崩したときには自分でちゃんと対処して。あの絵、真ん中に手を添えたときにはその部分が剥がれそうなんだもん!)

と、いうことで作業開始!とにかくゆっくり、ゆっくり。バランスを崩さなければ大変なことにならないからね。この作業はかなり大変。でも、モンちゃんのためにもがんばるのであった。

小一時間程掛かって移動終了!大作もいいけれど後が大変なんだね。小型フォークリフトとか必要なんじゃないかと思ってしまった。と、いうよりか汎布のキャンバスだったらもう少し軽いんじゃないのかな…。この大作は木のボードをいくつか合わせているようだら…。この作業、3人いたらもうちょっとリスクも体力も時間も短縮できる。
一応、ブリリンもモンちゃんも居場所を確保できたのでよかった、よかった。そして、私も寝袋で寝ることも無くなったということだ。

でも、大作の絵がいなくなると結構アトリエは閑散として寂しくなるね。でもまた、ダーリンは描くのだと思う。今度は、キャンパスにしよう! 私も手伝うから。(キャンパスを張るのは結構面倒らしい)


ちなみに、この絵のテーマは“愛”だそうだ。老若男女を問わずこの世からExitする人たちがみんな“愛”を胸に抱いていけたらいいな、という願いがこめられている。世界の人達全てが人生を全うするわけではない。けれど“死”は平等に誰にでもやってきて、そして誰もがそのときにこんな気持ちでいられたら、本当に素敵だと思う。特に幼くしてなくなる子供たちが、少しでも楽しいことが経験できて、愛を胸に旅立っていけたら。私もダーリンも長い間一人の時期があって、それから出会えたってことは感謝に値することだと思っている。

そして、この絵が日本ばかりでなく世界をまわっていくことを考えると、もっとワクワクしてくるな~。この絵は何時搬出ですかね?